10月9日の日記
2004年10月9日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツ8 満たされない心
http://mia.s12.xrea.com/niki30.JPG
見て欲しい
話して欲しい
笑って欲しい
認めて欲しい
触れて欲しい
傍にいて欲しい
見てくれるだけでよかった
視界にさえ入れてもらえなかったから
話しかけてくれるだけでよかった
答えてさえもらえなかったから
笑っていてくれるだけでよかった
辛い表情しか見せてくれなかったから
認めてくれるだけでよかった
わたしは、ここにいるんだって
触れてくれるだけでよかった
ここにいるのだと安心できたから
貴方が近づくと望みは遠ざかる
いつまで経っても縮まらない絶対距離
だから、それを望んじゃいけない
だって、距離は縮まらない
私はまた、何かを望む
貴方が私を見てくれて
貴方が私に話しかけてくれて
貴方が私に笑いかけてくれて
貴方が私を認めてくれて
貴方が私に触れてくれて
貴方が私の傍にいてくれるのに
それ以上に
私が何を望むのか分からないから
++++++++++++++++++++++++
久々にお題やってみました、が・・・
・・・切なくない
てか、微猟奇なお題だよこれじゃ
そんなのばっかですがorz
http://mia.s12.xrea.com/niki30.JPG
見て欲しい
話して欲しい
笑って欲しい
認めて欲しい
触れて欲しい
傍にいて欲しい
見てくれるだけでよかった
視界にさえ入れてもらえなかったから
話しかけてくれるだけでよかった
答えてさえもらえなかったから
笑っていてくれるだけでよかった
辛い表情しか見せてくれなかったから
認めてくれるだけでよかった
わたしは、ここにいるんだって
触れてくれるだけでよかった
ここにいるのだと安心できたから
貴方が近づくと望みは遠ざかる
いつまで経っても縮まらない絶対距離
だから、それを望んじゃいけない
だって、距離は縮まらない
私はまた、何かを望む
貴方が私を見てくれて
貴方が私に話しかけてくれて
貴方が私に笑いかけてくれて
貴方が私を認めてくれて
貴方が私に触れてくれて
貴方が私の傍にいてくれるのに
それ以上に
私が何を望むのか分からないから
++++++++++++++++++++++++
久々にお題やってみました、が・・・
・・・切なくない
てか、微猟奇なお題だよこれじゃ
そんなのばっかですがorz
5月4日の日記
2004年5月4日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツてなことで 帰還でございます〜
帰ってこなくてもよかったとか言うベタな貶め文句はナシです、そこ
あー、見りゃ分かるですが
お題をテーマにまとめました
いや、単に自分がどれ書いたか確認しやすいようになんですが
・・・だって引き出しのすくない人間だから
下手したらネタ被るとか・・・(自分で言ってて悲しくなった模様
http://mia.s12.xrea.com/setu23.JPG
23 優しい嘘
「誕生日おめでとう、シルキー」
「おめっとさん」
「・・・ありがとう
お兄ちゃん、ザード」
ろうそくをやっとのことで吹き消すと、
2人が笑顔でそう言ってくれた
ケーキに立てられたろうそくは15本
ちっちゃいけど、消す大変さに大きさは関係ないのだ
・・・まったく、律儀に15本立てることはないのに、
ザードってこういうトコまで凝るから困る
きっと、姑になったら
窓枠のトコ指でこすって「ふっ」なんで息を吐いてから
「あらあらシルキーさん、お掃除なさったのではなかったのですか?
これはなんざましょねェ
やり直してくださいまし
おほほほほ」
なぁんて言うタイプだ、きっと
「・・・お前、今なんか失礼なこと考えてなかったか?」
「え、別に?」
・・・もう、こういうときに鋭いのも困る
今日は、わたしの誕生日
ベッドから上半身だけ起こしたわたしの隣で、
お兄ちゃんがなにか袋をごそごそやっていて、
ザードがケーキを切り分けている
毎年、雪の降り始めるころに訪れるわたしの誕生日
そんなものに意味はないと、誰よりわたしが知っているのに
「はい、プレゼント」
「・・・うん、ありがと」
笑顔で手渡されるプレゼント
袋を紐解いてみると、出てきたのは、一冊の本
「あ、さくら・・・」
その表紙には、満開に咲き乱れる
薄紅色の木々がプリントされていた
「そう
シルキーこの前、また桜見たいって言ってたからさ」
「・・・ありがとう、お兄ちゃん」
「喜んでくれて嬉しいよ」
「・・・俺も半分金出したんだけどな・・・
まぁいっか」
ページをめくると、目に飛び込んでくるのは
咲き誇る桜、桜、桜・・・
その儚い花びらを見ると、
孤児院での様々な思い出がよみがえる
・・・けして楽しいことばかりじゃなかったけど、
舞い散る花びらと、お兄ちゃんの言葉と、
初めて抱きしめてもらったあの暖かさは、
今でもちゃんと覚えている
「・・・見に、いきたいな」
だから、思わずポツリとそんなことを言ってしまったのだけど
「え?」
「・・・あっ、え、な、なんでもないっ!」
バカバカ、わたしのバカ
もう桜どころか秋桜の時期もとっくに過ぎてる
・・・わたしが、普通だったら
『来年、連れてってくれる?』って続けられたけど
・・・わたしは
・・・きっと、来年の春には
「・・・そうだね」
「えっ?」
だから、その言葉を聴いたときは本当に信じられなくて
「来年、見に行こうか」
平気なように振舞っている自分の演技をほめてあげたくなった
「おいおい、大陸まで行く金なんてあるのかよ」
「バイト もうちょっと時間を・・・」
・・・だから、これは自分へのご褒美
「・・・うん 行こうねっ!」
来年の春、桜を見に行こう
わたしとお兄ちゃんと、しょうがないからザードも一緒に
贅沢は出来ないから、ボロボロの客船の一番悪い部屋に乗って
それでも3人で楽しく話していれば
目的地になんてすぐに着いてしまう
船から下りて、またお話しながら歩いて
そして、3人で桜の木の下でお弁当
それは なんてことはない短い旅行だけど
きっと、とても楽しくて暖かい・・・
・・・夢だから
******************
・・・さて、嘘をついていたのは誰でしょう
多分、そっちじゃないです
タブレット復活したので
前 絵抜きで更新したのにもつけてみたり
・・・それにしても、
水玉機能使いすぎだ、自分
そして、今回の
・・・設定的には切なくなるはずなのに
何でこんなに切なくないんだー!!
・・・文章リハビリ中です(汗
なんか、思うようにかけないのです
スランプとはまた違うのですけどね
(俺にとってのスランプはネタが浮かばないこと
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
帰ってこなくてもよかったとか言うベタな貶め文句はナシです、そこ
あー、見りゃ分かるですが
お題をテーマにまとめました
いや、単に自分がどれ書いたか確認しやすいようになんですが
・・・だって引き出しのすくない人間だから
下手したらネタ被るとか・・・(自分で言ってて悲しくなった模様
http://mia.s12.xrea.com/setu23.JPG
23 優しい嘘
「誕生日おめでとう、シルキー」
「おめっとさん」
「・・・ありがとう
お兄ちゃん、ザード」
ろうそくをやっとのことで吹き消すと、
2人が笑顔でそう言ってくれた
ケーキに立てられたろうそくは15本
ちっちゃいけど、消す大変さに大きさは関係ないのだ
・・・まったく、律儀に15本立てることはないのに、
ザードってこういうトコまで凝るから困る
きっと、姑になったら
窓枠のトコ指でこすって「ふっ」なんで息を吐いてから
「あらあらシルキーさん、お掃除なさったのではなかったのですか?
これはなんざましょねェ
やり直してくださいまし
おほほほほ」
なぁんて言うタイプだ、きっと
「・・・お前、今なんか失礼なこと考えてなかったか?」
「え、別に?」
・・・もう、こういうときに鋭いのも困る
今日は、わたしの誕生日
ベッドから上半身だけ起こしたわたしの隣で、
お兄ちゃんがなにか袋をごそごそやっていて、
ザードがケーキを切り分けている
毎年、雪の降り始めるころに訪れるわたしの誕生日
そんなものに意味はないと、誰よりわたしが知っているのに
「はい、プレゼント」
「・・・うん、ありがと」
笑顔で手渡されるプレゼント
袋を紐解いてみると、出てきたのは、一冊の本
「あ、さくら・・・」
その表紙には、満開に咲き乱れる
薄紅色の木々がプリントされていた
「そう
シルキーこの前、また桜見たいって言ってたからさ」
「・・・ありがとう、お兄ちゃん」
「喜んでくれて嬉しいよ」
「・・・俺も半分金出したんだけどな・・・
まぁいっか」
ページをめくると、目に飛び込んでくるのは
咲き誇る桜、桜、桜・・・
その儚い花びらを見ると、
孤児院での様々な思い出がよみがえる
・・・けして楽しいことばかりじゃなかったけど、
舞い散る花びらと、お兄ちゃんの言葉と、
初めて抱きしめてもらったあの暖かさは、
今でもちゃんと覚えている
「・・・見に、いきたいな」
だから、思わずポツリとそんなことを言ってしまったのだけど
「え?」
「・・・あっ、え、な、なんでもないっ!」
バカバカ、わたしのバカ
もう桜どころか秋桜の時期もとっくに過ぎてる
・・・わたしが、普通だったら
『来年、連れてってくれる?』って続けられたけど
・・・わたしは
・・・きっと、来年の春には
「・・・そうだね」
「えっ?」
だから、その言葉を聴いたときは本当に信じられなくて
「来年、見に行こうか」
平気なように振舞っている自分の演技をほめてあげたくなった
「おいおい、大陸まで行く金なんてあるのかよ」
「バイト もうちょっと時間を・・・」
・・・だから、これは自分へのご褒美
「・・・うん 行こうねっ!」
来年の春、桜を見に行こう
わたしとお兄ちゃんと、しょうがないからザードも一緒に
贅沢は出来ないから、ボロボロの客船の一番悪い部屋に乗って
それでも3人で楽しく話していれば
目的地になんてすぐに着いてしまう
船から下りて、またお話しながら歩いて
そして、3人で桜の木の下でお弁当
それは なんてことはない短い旅行だけど
きっと、とても楽しくて暖かい・・・
・・・夢だから
******************
・・・さて、嘘をついていたのは誰でしょう
多分、そっちじゃないです
タブレット復活したので
前 絵抜きで更新したのにもつけてみたり
・・・それにしても、
水玉機能使いすぎだ、自分
そして、今回の
・・・設定的には切なくなるはずなのに
何でこんなに切なくないんだー!!
・・・文章リハビリ中です(汗
なんか、思うようにかけないのです
スランプとはまた違うのですけどね
(俺にとってのスランプはネタが浮かばないこと
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
4月14日の日記
2004年4月14日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツhttp://mia.s12.xrea.com/setu18.JPG
それは、今のお兄ちゃんしか知らない人が見たら
きっとびっくりするほど
お兄ちゃんが優しくなかったときのおはなし
18 手首
「だから、僕に構うなって言ってるんだよ!」
ばしっと、花束が地面にたたきつけられる
繊細な花びらはちぎれて、ひらひらと遅れて舞い落ちる
「・・・・・・」
「・・・余計なことをするな
気を使われるのは嫌いだ」
捨て台詞のようにそう吐いて、
空色の髪をひるがえして彼は向こうへ行ってしまった
「・・・はぁ」
地面に落ちた花を拾い上げる
「・・・無駄になっちゃったね
ごめんなさい」
摘んでしまったお花さんに謝る
ごめんなさい、喜んでもらえると思ったの
「・・・やっぱり、しんじてもらえてないのかなぁ」
・・・そりゃ、ぜんぜん疑いもなくあの人に言ったわけじゃないよ
わたし、あなたの妹なんです なんて
何の疑いもなく受け入れてもらえるなんて、そんな虫のいいこと思ってたわけじゃないよ
「・・・でも、さ」
・・・ここまで、嫌われるとも思ってなかったんだよね
「・・・うー・・・やっぱりもうちょっと仲良くなってから言ったほうがよかったのかな」
でも、それはそれで怒られそうな気がする、うん
「・・・はぁ」
・・・あの人の意思がどうであれ、
わたしは役目を果たすだけだ
だけどそのためには、そばにいなきゃいけない
いつでも、いかなるときでも、
あらゆる害からあの人を守るために
「・・・落ち込んでてもしょうがないよね」
よし、とわたしは立ち上がった
花束がダメなら、別のものを探そう
あの人の心をすこしでもほっとさせてあげられるようなものを・・・
「あれ?」
なんか、趣旨が違ってる気がするんだけどな
わたしの目的は、別にあの人と仲良くなることじゃない
・・・広く言えばそうかもしれないけど、なんかそれは主なことじゃないと言うか・・・
「・・・ま、いっか」
いいんだ、だって
あの人をほっとけないのは、事実なんだから
「・・・って、あれ?」
あたりはザワザワ風の音
さらさら流れるのは、小川だろうか
日は暮れかけて、あたりはなんかそろそろ暗くなってきていた
「・・・ここ、どこだろ」
孤児院の近くの森をわたしは歩いてたはずだ
面白いものとかないかなぁ、と
・・・で、なんでいつのまにかこんな知らないトコにいるんだろ
「・・・もしかして」
いや、考えるまでもないような気もするんだけどね
「・・・迷った?」
・・・うん、そうだ
てか、この状況ではそれ以外の思いつきなんてあるわけないし、
わざわざ面白いことを言うような余裕は今のわたしにはなかった
「・・・うそ、どうしよう」
・・・えーと
・・・こういうときって、下手に動かない方がいいんだっけ?
「・・・でも、それって探しに来てくれる人がいる場合だよね・・・」
院長先生は来てくれるかも知れない
というか、今頃心配してるだろう、うん
・・・ああ、ごめんなさい
あとは・・・
「・・・バカ」
わたしのバカ
あの人が探しにきてくれるわけないじゃんか
てか下草のこんもりと茂った、こんな昼でも視界の悪そうな森、
院長先生だって・・・
「・・・う」
・・・なんか、急にもの悲しくなってきた
なんでわたし、こんなとこでうずくまってるんだろ
手は擦り傷だらけでまともに握れもしないし、
足だって、こうやって一度すわっちゃうと立てなくなるくらいガクガクしてる
あの人だって言ったじゃん、『余計なことをするな』って
なにかしたって、嫌われるだけだし、
なにしたって・・・
「・・・ちょっと」
「うきゃぁあああっ!?」
目の前にいきなり現れた影に驚いて、
反射的にわたしは後ろにとびすさろうとして、
手首をつかまれた
「逃げるな」
「・・・え?」
恐る恐る顔を上げると、そこには・・・
「・・・おにい、ちゃん・・・?」
「・・・・・・」
逆光でよくわかんないけど、すごく不機嫌そうなオーラをまとったお兄ちゃんがこっちをにらんでた
「あ、あの・・・」
「・・・こんなところでなにをやっているんだ」
ぶすっとしたまま、わたしを立ち上がらせる
「・・・・・・」
わたしはおどろきすぎて、足の疲れも手の痛みも忘れてしまった
「・・・答えられないのか」
「・・・え、あの、え、そ、その・・・」
じっと真っ青な瞳で見つめられて、
どぎまぎと何か言おうとするんだけど、
言葉は全て意味不明の音の羅列にしかならない
「・・・・・・」
あたふたするわたしを見て、
なにかに気づいたように彼はわたしの手をひっくり返して手のひらをみる
「・・・あ・・・」
「・・・・・・」
そこには、擦り傷で真っ赤になった手がある
「・・・えっと・・・」
「・・・帰るぞ」
「え、あ・・・」
ぐいっとわたしの手首をつかむと、
彼はすたすたと歩いていく
「あ、あの、道は・・・」
「・・・・・・」
彼は無言で左手に持ったタコ糸の束みたいなのを見せる
見れば、先の方までその先端は続いている
・・・多分、森の出口まで
「・・・あ、あの・・・」
「・・・なんだ」
こちらをふりかえりもせずに、
ずんずん彼は歩いていく
「・・・その、手・・・」
「・・・・・・」
「・・・あの・・・・」
「・・・困る」
「え?」
「・・・またお前が迷子になったら、
探さなきゃいけないのは僕なんだから、困る」
「・・・・・・」
・・・それは、余計な手間をかけさせるなってことなんだけど
「・・・うん」
・・・なんだ、嫌われてたわけじゃなかったんだ
「・・・その・・・」
「? なぁに」
「・・・帰れば、エマさんが薬とか用意してくれてると思う、から・・・」
ごにょごにょと、よく聞き取れないくらい小さい声で言われたその言葉も
「・・・うん
・・・心配してくれてありがとう お兄ちゃん」
「・・・・・・」
何も答えなかったけれど、わたしの手首を握る力が
少しだけ強くなったのが
きっと、今の彼の精一杯の答えだったんだと思う
それは、今のお兄ちゃんしか知らない人が見たら
きっとびっくりするほど
お兄ちゃんが素直に優しくなかったときのおはなし
**********************
・・・ねえ、だからこれのどこが切ないんだ
そんなフォーディア反抗期(・・・)のお話
彼はシルキーとの出会いとか色々美化して語ってますが
当時の彼はこんなんだったのですよ、と
・・・好感持ってる人をわざわざ減らして楽しいのか、俺
ちなみにエマ=院長先生です
それは、今のお兄ちゃんしか知らない人が見たら
きっとびっくりするほど
お兄ちゃんが優しくなかったときのおはなし
18 手首
「だから、僕に構うなって言ってるんだよ!」
ばしっと、花束が地面にたたきつけられる
繊細な花びらはちぎれて、ひらひらと遅れて舞い落ちる
「・・・・・・」
「・・・余計なことをするな
気を使われるのは嫌いだ」
捨て台詞のようにそう吐いて、
空色の髪をひるがえして彼は向こうへ行ってしまった
「・・・はぁ」
地面に落ちた花を拾い上げる
「・・・無駄になっちゃったね
ごめんなさい」
摘んでしまったお花さんに謝る
ごめんなさい、喜んでもらえると思ったの
「・・・やっぱり、しんじてもらえてないのかなぁ」
・・・そりゃ、ぜんぜん疑いもなくあの人に言ったわけじゃないよ
わたし、あなたの妹なんです なんて
何の疑いもなく受け入れてもらえるなんて、そんな虫のいいこと思ってたわけじゃないよ
「・・・でも、さ」
・・・ここまで、嫌われるとも思ってなかったんだよね
「・・・うー・・・やっぱりもうちょっと仲良くなってから言ったほうがよかったのかな」
でも、それはそれで怒られそうな気がする、うん
「・・・はぁ」
・・・あの人の意思がどうであれ、
わたしは役目を果たすだけだ
だけどそのためには、そばにいなきゃいけない
いつでも、いかなるときでも、
あらゆる害からあの人を守るために
「・・・落ち込んでてもしょうがないよね」
よし、とわたしは立ち上がった
花束がダメなら、別のものを探そう
あの人の心をすこしでもほっとさせてあげられるようなものを・・・
「あれ?」
なんか、趣旨が違ってる気がするんだけどな
わたしの目的は、別にあの人と仲良くなることじゃない
・・・広く言えばそうかもしれないけど、なんかそれは主なことじゃないと言うか・・・
「・・・ま、いっか」
いいんだ、だって
あの人をほっとけないのは、事実なんだから
「・・・って、あれ?」
あたりはザワザワ風の音
さらさら流れるのは、小川だろうか
日は暮れかけて、あたりはなんかそろそろ暗くなってきていた
「・・・ここ、どこだろ」
孤児院の近くの森をわたしは歩いてたはずだ
面白いものとかないかなぁ、と
・・・で、なんでいつのまにかこんな知らないトコにいるんだろ
「・・・もしかして」
いや、考えるまでもないような気もするんだけどね
「・・・迷った?」
・・・うん、そうだ
てか、この状況ではそれ以外の思いつきなんてあるわけないし、
わざわざ面白いことを言うような余裕は今のわたしにはなかった
「・・・うそ、どうしよう」
・・・えーと
・・・こういうときって、下手に動かない方がいいんだっけ?
「・・・でも、それって探しに来てくれる人がいる場合だよね・・・」
院長先生は来てくれるかも知れない
というか、今頃心配してるだろう、うん
・・・ああ、ごめんなさい
あとは・・・
「・・・バカ」
わたしのバカ
あの人が探しにきてくれるわけないじゃんか
てか下草のこんもりと茂った、こんな昼でも視界の悪そうな森、
院長先生だって・・・
「・・・う」
・・・なんか、急にもの悲しくなってきた
なんでわたし、こんなとこでうずくまってるんだろ
手は擦り傷だらけでまともに握れもしないし、
足だって、こうやって一度すわっちゃうと立てなくなるくらいガクガクしてる
あの人だって言ったじゃん、『余計なことをするな』って
なにかしたって、嫌われるだけだし、
なにしたって・・・
「・・・ちょっと」
「うきゃぁあああっ!?」
目の前にいきなり現れた影に驚いて、
反射的にわたしは後ろにとびすさろうとして、
手首をつかまれた
「逃げるな」
「・・・え?」
恐る恐る顔を上げると、そこには・・・
「・・・おにい、ちゃん・・・?」
「・・・・・・」
逆光でよくわかんないけど、すごく不機嫌そうなオーラをまとったお兄ちゃんがこっちをにらんでた
「あ、あの・・・」
「・・・こんなところでなにをやっているんだ」
ぶすっとしたまま、わたしを立ち上がらせる
「・・・・・・」
わたしはおどろきすぎて、足の疲れも手の痛みも忘れてしまった
「・・・答えられないのか」
「・・・え、あの、え、そ、その・・・」
じっと真っ青な瞳で見つめられて、
どぎまぎと何か言おうとするんだけど、
言葉は全て意味不明の音の羅列にしかならない
「・・・・・・」
あたふたするわたしを見て、
なにかに気づいたように彼はわたしの手をひっくり返して手のひらをみる
「・・・あ・・・」
「・・・・・・」
そこには、擦り傷で真っ赤になった手がある
「・・・えっと・・・」
「・・・帰るぞ」
「え、あ・・・」
ぐいっとわたしの手首をつかむと、
彼はすたすたと歩いていく
「あ、あの、道は・・・」
「・・・・・・」
彼は無言で左手に持ったタコ糸の束みたいなのを見せる
見れば、先の方までその先端は続いている
・・・多分、森の出口まで
「・・・あ、あの・・・」
「・・・なんだ」
こちらをふりかえりもせずに、
ずんずん彼は歩いていく
「・・・その、手・・・」
「・・・・・・」
「・・・あの・・・・」
「・・・困る」
「え?」
「・・・またお前が迷子になったら、
探さなきゃいけないのは僕なんだから、困る」
「・・・・・・」
・・・それは、余計な手間をかけさせるなってことなんだけど
「・・・うん」
・・・なんだ、嫌われてたわけじゃなかったんだ
「・・・その・・・」
「? なぁに」
「・・・帰れば、エマさんが薬とか用意してくれてると思う、から・・・」
ごにょごにょと、よく聞き取れないくらい小さい声で言われたその言葉も
「・・・うん
・・・心配してくれてありがとう お兄ちゃん」
「・・・・・・」
何も答えなかったけれど、わたしの手首を握る力が
少しだけ強くなったのが
きっと、今の彼の精一杯の答えだったんだと思う
それは、今のお兄ちゃんしか知らない人が見たら
きっとびっくりするほど
お兄ちゃんが素直に優しくなかったときのおはなし
**********************
・・・ねえ、だからこれのどこが切ないんだ
そんなフォーディア反抗期(・・・)のお話
彼はシルキーとの出会いとか色々美化して語ってますが
当時の彼はこんなんだったのですよ、と
・・・好感持ってる人をわざわざ減らして楽しいのか、俺
ちなみにエマ=院長先生です
4月12日の日記
2004年4月11日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツ4 届かない背中
http://mia.s12.xrea.com/setu4.JPG
だから、なんだろうか
「シルキー!」
手の届かないところへいってしまうのを恐れるのは
真っ白い世界で
目の前の人が悲しそうな顔で何か言っている
顔なんてもう 全然覚えてないのに
悲しそうだったってことだけははっきり分かるんだ
何て言ってたかなんて覚えてるはずがないのに
泣きそうだったってことだけははっきり思い出せる
ただ見上げるだけの僕に
その人は諦めたような笑みを浮かべて
白い世界に消えていった
小さくなっていく白い背中を見て、
唐突に理解はしたのだけど
ああ、自分は捨てられたんだな と
・・・なのに
遠ざかっていく背中に、何の感慨も抱けなかった
多分、そのころから僕はおかしかったんだろう
親に捨てられて何も思わない子供なんて
きっと壊れてる
悲しいとか、つらいとか
そんな当たり前の感情は、わいてくれなかった
・・・だって、そのときに理解してしまったんだ
あの背中には 届かないって
あの人はもう、僕の存在を認めていられないから
たとえ手が届いてもその背中に僕は届かないんだって
「フォーディア!」
「・・・ぅ・・・?」
声が頭にがんがん響く
この騒がしいのは・・・
「ザード・・・?」
なんでか重いまぶたを開くと、
やっぱり、すぐ近くにザードの顔があった
「・・・なにしてんの・・・?」
「なにしてんの、じゃねぇよ!
頭打って忘れたのか!?」
血相を変えて怒鳴るザード
うるさいなぁ、そんなに大きな声で言わなくても・・・
「・・・忘れたって、なにを・・・」
うまく回らない口でそう言いかけて、
やっと、僕は腕の中のぬくもりに気づいた
「・・・シルキー・・・?
・・・あ、そうか・・・」
ご飯が出来たと呼びにきたシルキーと階段を降りてた途中
前を歩いていたシルキーがよろけて足を踏み外して、
それに咄嗟に手を伸ばして、それで・・・
「・・・シルキーは・・・」
「なんともねぇよ
お前が全身でクッションになって落ちたみたいだからな」
「・・・そっか
よかった」
落ちる背中、遠ざかる背中
重なったせいだけでは、ないだろうけど
「あのな、どこがいいんだよ」
「・・・?」
シルキーを部屋に運んでいったザードが
今度は僕を抱えあげる
「・・・っ」
う、この痛みから察すると
後頭部だけじゃなくて、背中にも結構ダメージがあるみたいだな
・・・まいったな
打ち身とか内部の傷は魔術じゃ治しにくいんだけど・・・
「シルキーだけ無事でどうするんだよ
このバカ」
「そう言われても・・・とっさのことなんだから
後先考えてられないだろ」
「後先じゃなくて、自分のことも考えろって言ってんだよ
まったく」
うつぶせにベッドに横たえられて、
後頭部に冷たいものを乗せられた
氷嚢(ひょうのう)だろう、マメなやつ
・・・てか、いつ用意したんだ
「その、いざって時にシルキーしか見えねぇっての、
どうにかしないとお前、いつか死ぬぞ」
「いいけど?」
「・・・・・・」
「いてっ」
後頭部負傷してる奴をぐーで殴るな、ぐーで!
「なんでお前が怒るんだ」
「・・・考えろ、バカ」
どかどかとやかましい音を立てて、
ザードは下に降りていってしまった
「・・・なんだ、あいつ」
何を怒ってるんだか
あいつが人をバカ呼ばわりするのは
まぁ、大抵こっちを心配してるのの裏返しだってのは
ここ2年ほどの付き合いで分かってるんだけど
「・・・いらないんだからさ」
そう、いらない
「・・・届かない、手なんて」
遠ざかる、その背中に
届かない僕なら、いらないんだ
*********************
フォーディアはフォーディアでゆがんでるわけで
・・・いや、雪夜ではそこまで書いてる余裕がなかったんですが
そこらへんも書いてみたいなぁ、とか
作中になんかのネタバレはないですね
フォーディア母イベント見てたほうが
イメージはわきやすいという程度
そしてやっぱり微妙にお題から外れてる罠
んでもってザードは3人分の食事を片付けなければならないというどうでもいいその後
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
http://mia.s12.xrea.com/setu4.JPG
だから、なんだろうか
「シルキー!」
手の届かないところへいってしまうのを恐れるのは
真っ白い世界で
目の前の人が悲しそうな顔で何か言っている
顔なんてもう 全然覚えてないのに
悲しそうだったってことだけははっきり分かるんだ
何て言ってたかなんて覚えてるはずがないのに
泣きそうだったってことだけははっきり思い出せる
ただ見上げるだけの僕に
その人は諦めたような笑みを浮かべて
白い世界に消えていった
小さくなっていく白い背中を見て、
唐突に理解はしたのだけど
ああ、自分は捨てられたんだな と
・・・なのに
遠ざかっていく背中に、何の感慨も抱けなかった
多分、そのころから僕はおかしかったんだろう
親に捨てられて何も思わない子供なんて
きっと壊れてる
悲しいとか、つらいとか
そんな当たり前の感情は、わいてくれなかった
・・・だって、そのときに理解してしまったんだ
あの背中には 届かないって
あの人はもう、僕の存在を認めていられないから
たとえ手が届いてもその背中に僕は届かないんだって
「フォーディア!」
「・・・ぅ・・・?」
声が頭にがんがん響く
この騒がしいのは・・・
「ザード・・・?」
なんでか重いまぶたを開くと、
やっぱり、すぐ近くにザードの顔があった
「・・・なにしてんの・・・?」
「なにしてんの、じゃねぇよ!
頭打って忘れたのか!?」
血相を変えて怒鳴るザード
うるさいなぁ、そんなに大きな声で言わなくても・・・
「・・・忘れたって、なにを・・・」
うまく回らない口でそう言いかけて、
やっと、僕は腕の中のぬくもりに気づいた
「・・・シルキー・・・?
・・・あ、そうか・・・」
ご飯が出来たと呼びにきたシルキーと階段を降りてた途中
前を歩いていたシルキーがよろけて足を踏み外して、
それに咄嗟に手を伸ばして、それで・・・
「・・・シルキーは・・・」
「なんともねぇよ
お前が全身でクッションになって落ちたみたいだからな」
「・・・そっか
よかった」
落ちる背中、遠ざかる背中
重なったせいだけでは、ないだろうけど
「あのな、どこがいいんだよ」
「・・・?」
シルキーを部屋に運んでいったザードが
今度は僕を抱えあげる
「・・・っ」
う、この痛みから察すると
後頭部だけじゃなくて、背中にも結構ダメージがあるみたいだな
・・・まいったな
打ち身とか内部の傷は魔術じゃ治しにくいんだけど・・・
「シルキーだけ無事でどうするんだよ
このバカ」
「そう言われても・・・とっさのことなんだから
後先考えてられないだろ」
「後先じゃなくて、自分のことも考えろって言ってんだよ
まったく」
うつぶせにベッドに横たえられて、
後頭部に冷たいものを乗せられた
氷嚢(ひょうのう)だろう、マメなやつ
・・・てか、いつ用意したんだ
「その、いざって時にシルキーしか見えねぇっての、
どうにかしないとお前、いつか死ぬぞ」
「いいけど?」
「・・・・・・」
「いてっ」
後頭部負傷してる奴をぐーで殴るな、ぐーで!
「なんでお前が怒るんだ」
「・・・考えろ、バカ」
どかどかとやかましい音を立てて、
ザードは下に降りていってしまった
「・・・なんだ、あいつ」
何を怒ってるんだか
あいつが人をバカ呼ばわりするのは
まぁ、大抵こっちを心配してるのの裏返しだってのは
ここ2年ほどの付き合いで分かってるんだけど
「・・・いらないんだからさ」
そう、いらない
「・・・届かない、手なんて」
遠ざかる、その背中に
届かない僕なら、いらないんだ
*********************
フォーディアはフォーディアでゆがんでるわけで
・・・いや、雪夜ではそこまで書いてる余裕がなかったんですが
そこらへんも書いてみたいなぁ、とか
作中になんかのネタバレはないですね
フォーディア母イベント見てたほうが
イメージはわきやすいという程度
そしてやっぱり微妙にお題から外れてる罠
んでもってザードは3人分の食事を片付けなければならないというどうでもいいその後
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
4月10日の日記
2004年4月9日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツ24 裸足
http://mia.s12.xrea.com/setu24.JPG
魔法の言葉はビビディ・バビデ・ブゥ
灰かぶりの娘は 美しいお姫様になりました
「でもさー」
「ん、なに?」
お兄ちゃんのひざの上に座ったまま、
顔をぐるんと上げてお兄ちゃんの顔を見上げる
「なんでガラスのくつだけホンモノもってたのかな?」
「・・・うーん・・・
・・・なんでだろうね?」
ステキなドレスも ステキな馬車も
全部全部 魔法のもの
なのに きれいなガラスのくつだけは
本当に、ホンモノ
結局それのおかげで シンデレラは幸せになる
「・・・もし、さぁ・・・」
童話に もし なんてあるわけないんだけど
「もし、ガラスのくつも魔法で出したにせものだったら・・・
王子様は、シンデレラをさがしだせなかったかな」
「・・・・・・」
一夜の夢と、あきらめて
そしていつしか忘れ去ってしまうのだろうか
「・・・そんなこと、ないよ」
ふわりと目を閉じて
かすかに笑うお兄ちゃん
「きっと王子様は・・・
それでもあきらめられなくて
探すと思うよ
それこそ、自分で国中駆けずり回ってね」
「・・・ほんとにそうおもう?」
「本当だよ」
「・・・・・・」
わたしには
なにひとつほんもののものはないから
だから
魔法のとけたシンデレラは
みすぼらしい姿のままで
何ももたずに家路を歩く
なにもその手には残らないけれど
でも 一晩の夢は
いつまでも忘れないから
たとえ はだしの足が磨り減って
歩くことさえできなくなったとしても
いつか迎えにきてくれる王子様の足音を待って
いつまでも 幸せなままでいられる
********************
つまりまぁそういうことなんです(意味不明
うー・・・かなし消化不良気味なので
いつか直すかもですが
とりあえず なんか眠い頭では
これ以上思いつきませんすみません
そしてペンタブが使えないので
当然のように絵はないです
・・・いや、そのうちつけるかもですが
http://mia.s12.xrea.com/setu24.JPG
魔法の言葉はビビディ・バビデ・ブゥ
灰かぶりの娘は 美しいお姫様になりました
「でもさー」
「ん、なに?」
お兄ちゃんのひざの上に座ったまま、
顔をぐるんと上げてお兄ちゃんの顔を見上げる
「なんでガラスのくつだけホンモノもってたのかな?」
「・・・うーん・・・
・・・なんでだろうね?」
ステキなドレスも ステキな馬車も
全部全部 魔法のもの
なのに きれいなガラスのくつだけは
本当に、ホンモノ
結局それのおかげで シンデレラは幸せになる
「・・・もし、さぁ・・・」
童話に もし なんてあるわけないんだけど
「もし、ガラスのくつも魔法で出したにせものだったら・・・
王子様は、シンデレラをさがしだせなかったかな」
「・・・・・・」
一夜の夢と、あきらめて
そしていつしか忘れ去ってしまうのだろうか
「・・・そんなこと、ないよ」
ふわりと目を閉じて
かすかに笑うお兄ちゃん
「きっと王子様は・・・
それでもあきらめられなくて
探すと思うよ
それこそ、自分で国中駆けずり回ってね」
「・・・ほんとにそうおもう?」
「本当だよ」
「・・・・・・」
わたしには
なにひとつほんもののものはないから
だから
魔法のとけたシンデレラは
みすぼらしい姿のままで
何ももたずに家路を歩く
なにもその手には残らないけれど
でも 一晩の夢は
いつまでも忘れないから
たとえ はだしの足が磨り減って
歩くことさえできなくなったとしても
いつか迎えにきてくれる王子様の足音を待って
いつまでも 幸せなままでいられる
********************
つまりまぁそういうことなんです(意味不明
うー・・・かなし消化不良気味なので
いつか直すかもですが
とりあえず なんか眠い頭では
これ以上思いつきませんすみません
そしてペンタブが使えないので
当然のように絵はないです
・・・いや、そのうちつけるかもですが
17 いない
http://mia.s12.xrea.com/setu17.jpg
「ザードってば!」
「うわっ!?」
ベッドから跳ね起きると、横でフォーディアがむくれていた
「ど、どうかしたか・・・?」
「どうかしたかじゃないよ
ザードこそどうしたのさ、
こんな時間まで寝坊して」
「へ?」
窓の外では、結構高い位置で太陽が輝いている
「・・・あれ?」
「もうお昼だよ
昨夜、なんか遅くまでやってたのか?」
「うーん・・・?
やってたようなやってないような・・・」
「はっきりしないな
まぁいいよ、ほら下へ行こう」
「・・・下へ? なんで」
「なんでって・・・ボケたのか?
シルキーがご飯作って待ってるよ」
「・・・あ、ああそうか
そうだよな、俺何言ってんだろ・・・」
「まったく・・・しっかりしてくれよ」
「わるいわるい んじゃ行くか」
なにか釈然としないものを感じながらも、
俺は衣服を整えながらなれた足つきで階段を下りていった
「あーっ、今頃起きてきてーっ!!」
食堂では、さっきのフォーディアみたいな顔で
シルキーが怒っていた
「わるい」
まぁ、俺が悪いんだから素直に頭を下げる
「・・・もう、いいけどね
ホラ、そこにすわって」
「?」
見れば、テーブルの上には
いつもと比べてかなり豪華な食事が並んでいる
「・・・どうしたんだ? 今日は」
「ホントに寝ぼけてるみたいだね」
なぜかさっきよりも不機嫌なフォーディアが
つんつん、とカレンダーを指差す
「今日、何の日か覚えてないの?」
「何の日って・・・あ・・・」
カレンダーの、おそらくシルキーによるものだと思われる赤いペンで記された花マルのついている今日、その日は・・・
「・・・俺の、誕生日・・・?」
「そうだよ ホントに忘れてたの?」
「・・・う」
どうかしてる
いくら寝ぼけてるからって、自分の誕生日を・・・
「まぁ、今日は大目に見てあげるよ
だからほら、すわって」
「・・・お兄ちゃんにめんじて許してあげる」
「・・・・・・」
「ほら、ザード」
「・・・ザード、すわりなよっ」
「・・・・・・」
「・・・そう、俺の誕生日だ」
「? だからそうだって・・・」
「・・・なら、これは・・・」
「気づかないで」
つむごうとした言葉は、
フォーディアの鋭い制止にさえぎられた
「・・・気づかないで」
「・・・・・・」
ああ、気づかなきゃ良かった
・・・その方が、俺も、よかった
「・・・ごめん
・・・でも、分かっちまったから」
「・・・じゃあ、言わないで」
今度はシルキーが言う
「・・・言わないで
言わなければ・・・」
「・・・うん、俺もずっとここにいたい」
「じゃあ・・・」
「・・・でも、それはできないから」
世界のどこかが乾いた音を立てたのを きいた
「なんで?
ザードは、僕らと一緒にいたくないの?」
笑顔なのか泣き顔か分からない顔で、
フォーディアが言う
きっと、俺も同じ様な顔をしているんだろう
「・・・いたいさ
ずっとずっと、3人で・・・!」
「じゃあいいじゃない!
ザードがいて、お兄ちゃんがいて、わたしがいて
なのに、なんで・・・」
「・・・でも、ごめん
・・・やっぱり俺は・・・
・・・現実で、生きていかないと」
「ここは、夢 だから」
世界が、乾いた音をたてて壊れるのを きいた
瞬間、2人がまるで電池の切れた玩具のように止まった
「・・・っ!」
2人の姿が、さらさらと砂の像のように溶けていく
何かを叫んだように見えたけど、
泣いてるように見えたけど、
自分のかすんだ視界ではよく分からなかった
『ふふふ、今年のプレゼントはきたいしててね〜』
『だめだよシルキー 言ったら』
『わかってるってば』
そんな会話を聞いたのは
ほんの 3日前のことだったのに
プレゼントをもらえるのは
今日の はずだったのに
なのに
どうして 2人は もうどこにもいないんだろう
「・・・っ・・・」
目をあけると、いつもと少し位置のずれた見慣れた天井
・・・当然か
いつものベッドの隣りので寝ていたんだから
「・・・重症だな」
あんな夢を見るなんて
「・・・・・・」
ポケットから、
昨日見つけた小箱を取り出す
2重になっているその箱をあければ
中には行儀よくおさまっているピアス
すこし逡巡してから、
それを耳につける
「・・・ばかやろう」
鏡もないこの部屋で
似合うかどうか、誰に訊けばいいんだよ
ああ、本当に
なんでよりによってピアスなんて贈ってくれたのか
頬を伝った熱いものは
ピアスであけた穴の痛みだと思うことにした
**************
ということで
シルキーED直後の話だと思われます
春生まれなんです ザード
これのもっと長いVerに
「ぴあすのふた」とゆーのがありますが
・・・さぁ、公開するのかしないのか
http://mia.s12.xrea.com/setu17.jpg
「ザードってば!」
「うわっ!?」
ベッドから跳ね起きると、横でフォーディアがむくれていた
「ど、どうかしたか・・・?」
「どうかしたかじゃないよ
ザードこそどうしたのさ、
こんな時間まで寝坊して」
「へ?」
窓の外では、結構高い位置で太陽が輝いている
「・・・あれ?」
「もうお昼だよ
昨夜、なんか遅くまでやってたのか?」
「うーん・・・?
やってたようなやってないような・・・」
「はっきりしないな
まぁいいよ、ほら下へ行こう」
「・・・下へ? なんで」
「なんでって・・・ボケたのか?
シルキーがご飯作って待ってるよ」
「・・・あ、ああそうか
そうだよな、俺何言ってんだろ・・・」
「まったく・・・しっかりしてくれよ」
「わるいわるい んじゃ行くか」
なにか釈然としないものを感じながらも、
俺は衣服を整えながらなれた足つきで階段を下りていった
「あーっ、今頃起きてきてーっ!!」
食堂では、さっきのフォーディアみたいな顔で
シルキーが怒っていた
「わるい」
まぁ、俺が悪いんだから素直に頭を下げる
「・・・もう、いいけどね
ホラ、そこにすわって」
「?」
見れば、テーブルの上には
いつもと比べてかなり豪華な食事が並んでいる
「・・・どうしたんだ? 今日は」
「ホントに寝ぼけてるみたいだね」
なぜかさっきよりも不機嫌なフォーディアが
つんつん、とカレンダーを指差す
「今日、何の日か覚えてないの?」
「何の日って・・・あ・・・」
カレンダーの、おそらくシルキーによるものだと思われる赤いペンで記された花マルのついている今日、その日は・・・
「・・・俺の、誕生日・・・?」
「そうだよ ホントに忘れてたの?」
「・・・う」
どうかしてる
いくら寝ぼけてるからって、自分の誕生日を・・・
「まぁ、今日は大目に見てあげるよ
だからほら、すわって」
「・・・お兄ちゃんにめんじて許してあげる」
「・・・・・・」
「ほら、ザード」
「・・・ザード、すわりなよっ」
「・・・・・・」
「・・・そう、俺の誕生日だ」
「? だからそうだって・・・」
「・・・なら、これは・・・」
「気づかないで」
つむごうとした言葉は、
フォーディアの鋭い制止にさえぎられた
「・・・気づかないで」
「・・・・・・」
ああ、気づかなきゃ良かった
・・・その方が、俺も、よかった
「・・・ごめん
・・・でも、分かっちまったから」
「・・・じゃあ、言わないで」
今度はシルキーが言う
「・・・言わないで
言わなければ・・・」
「・・・うん、俺もずっとここにいたい」
「じゃあ・・・」
「・・・でも、それはできないから」
世界のどこかが乾いた音を立てたのを きいた
「なんで?
ザードは、僕らと一緒にいたくないの?」
笑顔なのか泣き顔か分からない顔で、
フォーディアが言う
きっと、俺も同じ様な顔をしているんだろう
「・・・いたいさ
ずっとずっと、3人で・・・!」
「じゃあいいじゃない!
ザードがいて、お兄ちゃんがいて、わたしがいて
なのに、なんで・・・」
「・・・でも、ごめん
・・・やっぱり俺は・・・
・・・現実で、生きていかないと」
「ここは、夢 だから」
世界が、乾いた音をたてて壊れるのを きいた
瞬間、2人がまるで電池の切れた玩具のように止まった
「・・・っ!」
2人の姿が、さらさらと砂の像のように溶けていく
何かを叫んだように見えたけど、
泣いてるように見えたけど、
自分のかすんだ視界ではよく分からなかった
『ふふふ、今年のプレゼントはきたいしててね〜』
『だめだよシルキー 言ったら』
『わかってるってば』
そんな会話を聞いたのは
ほんの 3日前のことだったのに
プレゼントをもらえるのは
今日の はずだったのに
なのに
どうして 2人は もうどこにもいないんだろう
「・・・っ・・・」
目をあけると、いつもと少し位置のずれた見慣れた天井
・・・当然か
いつものベッドの隣りので寝ていたんだから
「・・・重症だな」
あんな夢を見るなんて
「・・・・・・」
ポケットから、
昨日見つけた小箱を取り出す
2重になっているその箱をあければ
中には行儀よくおさまっているピアス
すこし逡巡してから、
それを耳につける
「・・・ばかやろう」
鏡もないこの部屋で
似合うかどうか、誰に訊けばいいんだよ
ああ、本当に
なんでよりによってピアスなんて贈ってくれたのか
頬を伝った熱いものは
ピアスであけた穴の痛みだと思うことにした
**************
ということで
シルキーED直後の話だと思われます
春生まれなんです ザード
これのもっと長いVerに
「ぴあすのふた」とゆーのがありますが
・・・さぁ、公開するのかしないのか
15 愛しい人(IF もしフォーディアが森へ行かされなかったら
http://mia.s12.xrea.com/setu15.jpg
いとしいひと
その目でわたしだけを見て
その腕でわたしだけを抱いて
その手でわたしだけを撫でて
その胸でわたしだけを想って
その足でわたしのためだけに駈けて
そうでないなら・・・
「・・・目、覚めた?」
覗き込んでくる青い瞳は、いつもの優しくて悲しい光を湛えている
「・・・お兄ちゃん・・・」
・・・もう、何日こういう生活をしているのか
春も近くなってきたあの日、
わたしは倒れた
血をいっぱい吐いて
それからずっと、ベッドに寝たきり
だって、体を動かすのも辛いから
小指一本動かしただけで
腕が引き裂けるような痛みが走る
呼吸をするだけで
針を千本飲まされているような痛みが走る
わかっていた ことだけど
わたしはもう ながくない
「・・・調子はどう?」
「・・・大丈夫だよ」
「・・・そっか」
何十回 この会話を繰り返したんだろう
もう、頭もよく働かない
だけど、わたしにはまだ
ひとつだけ やらなきゃいけないことがある
「・・・ザード・・・よんで」
「え?」
「・・・ザード」
「・・・分かった」
お兄ちゃんが出て行くとすぐに、ザードが入ってきた
多分、もともと近くにいたんだろう
「・・・どうかしたか?」
「・・・あのね、わたし・・・」
「え? なんだ、聞こえな・・・」
そう言って、ザードがかがんだ瞬間
ぶしゅ
間抜けな音をたてて、ザードの首から赤いものが吹き出した
「・・・え・・・?」
わからない、という風にわたしを見つめるザード
「・・・わたし、あなたのこと好きだった
・・・でもね、わたしがいなくなったあと・・・
・・・あなたがもともとの役目を果たさないって・・・言える?」
「・・・・・・」
「・・・は、知って、たの、か」
「当然、でしょ?
わたし、お兄ちゃんほどお人よしじゃないわ」
「・・・・・・」
ずるりと、赤い金髪は床に崩れ落ちた
最後に何か言っていたような気もするけど、
ごぽごぽという液体の音が五月蝿くて、聞こえなかった
『・・・いとしいひと』
足音が聞こえる
『その目でわたしだけを見て』
物音が聞こえたのかもしれない
『その腕でわたしだけを抱いて』
私の部屋の前で止まる
『その手でわたしだけを撫でて』
鉄の匂いに気づいたのかもしれない
『その胸でわたしだけを想って』
あの人にも、なじみの匂いだから
『その足でわたしのためだけに駈けて』
それも一瞬、すぐに血相を変えて部屋に飛び込んでくる
『そうでないなら・・・』
「シルキー、なにがあっ・・・」
――あなたを ころすわ
「・・・どうしたの? お兄ちゃん」
いつもの口調で
いつものように笑ってわたしは言う
「・・・ザー・・・ド・・・?」
蒼白になったあなたの顔は
貴方が今考えている事を必死に否定しようとしているのを良く表している
「そうよ、毎日会ってるでしょう?
忘れるわけがないじゃない」
「・・・・・・」
お兄ちゃんの目が、血に塗れたチャクラムを持ったわたしの手に吸い寄せられる
「・・・嘘、だよね」
「嘘でも夢でもないよ」
「・・・2人で僕をからかってるなら・・・」
「お兄ちゃんなら、死体とそうじゃないのの区別、つくでしょ?」
「・・・っ・・・!」
耐え切れなくなったように、お兄ちゃんが目を閉じる
「どうしたの、なにをそんなにおびえてるの?」
痛むそぶりもないように、体をしなやかに動かしてベッドから起き上がる
「・・・シルキー・・・」
「なぁに?」
ひたひたと歩いて、お兄ちゃんの前に立つ
「・・・なん、で・・・」
「お兄ちゃんは知る必要のないことだよ」
貴方の中で、いつまでもザードは『いい友達』のままでいればいい
「・・・・・・」
「どうしたの? なにがそんなに悲しいの?」
真っ白な顔で、うつろな目をしたお兄ちゃんの顔にそっと触れる
「・・・そんなこと、きく必要もないか
だって、これでお兄ちゃんは
わたしが死んだらひとりぼっちだもんね」
「・・・・・・」
「・・・かわいそうな、お兄ちゃん」
がくっと、体から力が抜ける
「シルキー!」
もうなんの力も残っていないわたしの体を、
震える腕で支えるお兄ちゃん
・・・本当に、お兄ちゃんて・・・
「・・・ひとりは、いやでしょ・・・?」
「・・・そうだね」
「・・・うん、おにいちゃんなら、そう、いうと・・・」
もう、ほんとうに、なんのちからものこってない、はずなのに
わたしのうでは、さっきとかわらないせいかくさで
チャクラムをないだ
「っ・・・!」
いたみは、いっしゅん
ざーどのときみたいに、わざとはずしたりしなかったから
いたいとおもったしゅんかんには、もうそれすらわからなくなっていたはず
ちからをうしなったおにいちゃんのからだごと、
わたしのからだがくずれおちる
「・・・・・・」
すぐに、わたしにもおわりがくる
こうしてかんがえているのさえ、ねむくてねむくて、やっとだし
・・・うん、だってね
わかってたよ
ざーどがなんであれ、もうおにいちゃんをうらぎったりできないって
わたしがしんでも、きっとおにいちゃんをたすけていきていってくれるって
でもね
わたし
わたしいがいをみて
わたしいがいをだいて
わたしいがいをなでて
わたしいがいをおもって
わたしいがいのためだけにかける
そんな
わたしいがいのためにいきる おにいちゃんは
あいせないから
だから
わたしのいとしいおにいちゃんのままで
ずっと いっしょにいたいの
ね、ずっと いっしょ・・・だよ・・・
**************
・・・わたし、やっぱりどっかおかしいのかしら?
・・・ごめんなさい すごくすらすら書けました
下の血まみれとあわせてお楽しみください
もしくは「さよなら」の笑顔フォーディアと・・・
・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさ(略
http://mia.s12.xrea.com/setu15.jpg
いとしいひと
その目でわたしだけを見て
その腕でわたしだけを抱いて
その手でわたしだけを撫でて
その胸でわたしだけを想って
その足でわたしのためだけに駈けて
そうでないなら・・・
「・・・目、覚めた?」
覗き込んでくる青い瞳は、いつもの優しくて悲しい光を湛えている
「・・・お兄ちゃん・・・」
・・・もう、何日こういう生活をしているのか
春も近くなってきたあの日、
わたしは倒れた
血をいっぱい吐いて
それからずっと、ベッドに寝たきり
だって、体を動かすのも辛いから
小指一本動かしただけで
腕が引き裂けるような痛みが走る
呼吸をするだけで
針を千本飲まされているような痛みが走る
わかっていた ことだけど
わたしはもう ながくない
「・・・調子はどう?」
「・・・大丈夫だよ」
「・・・そっか」
何十回 この会話を繰り返したんだろう
もう、頭もよく働かない
だけど、わたしにはまだ
ひとつだけ やらなきゃいけないことがある
「・・・ザード・・・よんで」
「え?」
「・・・ザード」
「・・・分かった」
お兄ちゃんが出て行くとすぐに、ザードが入ってきた
多分、もともと近くにいたんだろう
「・・・どうかしたか?」
「・・・あのね、わたし・・・」
「え? なんだ、聞こえな・・・」
そう言って、ザードがかがんだ瞬間
ぶしゅ
間抜けな音をたてて、ザードの首から赤いものが吹き出した
「・・・え・・・?」
わからない、という風にわたしを見つめるザード
「・・・わたし、あなたのこと好きだった
・・・でもね、わたしがいなくなったあと・・・
・・・あなたがもともとの役目を果たさないって・・・言える?」
「・・・・・・」
「・・・は、知って、たの、か」
「当然、でしょ?
わたし、お兄ちゃんほどお人よしじゃないわ」
「・・・・・・」
ずるりと、赤い金髪は床に崩れ落ちた
最後に何か言っていたような気もするけど、
ごぽごぽという液体の音が五月蝿くて、聞こえなかった
『・・・いとしいひと』
足音が聞こえる
『その目でわたしだけを見て』
物音が聞こえたのかもしれない
『その腕でわたしだけを抱いて』
私の部屋の前で止まる
『その手でわたしだけを撫でて』
鉄の匂いに気づいたのかもしれない
『その胸でわたしだけを想って』
あの人にも、なじみの匂いだから
『その足でわたしのためだけに駈けて』
それも一瞬、すぐに血相を変えて部屋に飛び込んでくる
『そうでないなら・・・』
「シルキー、なにがあっ・・・」
――あなたを ころすわ
「・・・どうしたの? お兄ちゃん」
いつもの口調で
いつものように笑ってわたしは言う
「・・・ザー・・・ド・・・?」
蒼白になったあなたの顔は
貴方が今考えている事を必死に否定しようとしているのを良く表している
「そうよ、毎日会ってるでしょう?
忘れるわけがないじゃない」
「・・・・・・」
お兄ちゃんの目が、血に塗れたチャクラムを持ったわたしの手に吸い寄せられる
「・・・嘘、だよね」
「嘘でも夢でもないよ」
「・・・2人で僕をからかってるなら・・・」
「お兄ちゃんなら、死体とそうじゃないのの区別、つくでしょ?」
「・・・っ・・・!」
耐え切れなくなったように、お兄ちゃんが目を閉じる
「どうしたの、なにをそんなにおびえてるの?」
痛むそぶりもないように、体をしなやかに動かしてベッドから起き上がる
「・・・シルキー・・・」
「なぁに?」
ひたひたと歩いて、お兄ちゃんの前に立つ
「・・・なん、で・・・」
「お兄ちゃんは知る必要のないことだよ」
貴方の中で、いつまでもザードは『いい友達』のままでいればいい
「・・・・・・」
「どうしたの? なにがそんなに悲しいの?」
真っ白な顔で、うつろな目をしたお兄ちゃんの顔にそっと触れる
「・・・そんなこと、きく必要もないか
だって、これでお兄ちゃんは
わたしが死んだらひとりぼっちだもんね」
「・・・・・・」
「・・・かわいそうな、お兄ちゃん」
がくっと、体から力が抜ける
「シルキー!」
もうなんの力も残っていないわたしの体を、
震える腕で支えるお兄ちゃん
・・・本当に、お兄ちゃんて・・・
「・・・ひとりは、いやでしょ・・・?」
「・・・そうだね」
「・・・うん、おにいちゃんなら、そう、いうと・・・」
もう、ほんとうに、なんのちからものこってない、はずなのに
わたしのうでは、さっきとかわらないせいかくさで
チャクラムをないだ
「っ・・・!」
いたみは、いっしゅん
ざーどのときみたいに、わざとはずしたりしなかったから
いたいとおもったしゅんかんには、もうそれすらわからなくなっていたはず
ちからをうしなったおにいちゃんのからだごと、
わたしのからだがくずれおちる
「・・・・・・」
すぐに、わたしにもおわりがくる
こうしてかんがえているのさえ、ねむくてねむくて、やっとだし
・・・うん、だってね
わかってたよ
ざーどがなんであれ、もうおにいちゃんをうらぎったりできないって
わたしがしんでも、きっとおにいちゃんをたすけていきていってくれるって
でもね
わたし
わたしいがいをみて
わたしいがいをだいて
わたしいがいをなでて
わたしいがいをおもって
わたしいがいのためだけにかける
そんな
わたしいがいのためにいきる おにいちゃんは
あいせないから
だから
わたしのいとしいおにいちゃんのままで
ずっと いっしょにいたいの
ね、ずっと いっしょ・・・だよ・・・
**************
・・・わたし、やっぱりどっかおかしいのかしら?
・・・ごめんなさい すごくすらすら書けました
下の血まみれとあわせてお楽しみください
もしくは「さよなら」の笑顔フォーディアと・・・
・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさ(略
16 子守唄
http://mia.s12.xrea.com/setu16.jpg
こもりうたが きこえる
うっすらと目をあけると、
見えるのは一面 白
「・・・あ・・・」
真っ白な 世界
穢れなど知らないかのように 舞い落ちる白い羽根
自分の手を見る
赤くこびりついた、穢れ
もう、とれない
「・・・消して」
あおむけになって、空へ手を伸ばす
「・・・消してよ」
この白い世界に、穢れた自分は要らないから
「・・・消して・・・」
しんしんと、深々と、雪は降る
誰の上にも平等に
しんしんと、深々と、雪が降る
・・・雪の音が、きこえる
せかいをしろく けがれのないばしょに
けがれたものは うまってしまえ
・・・雪が歌っている
「・・・いいよ」
消して
汚らわしいこの体を 消して
体がどんどん冷たくなっていく
手の先から 足の先まで
子守唄が体を包み込んでいく
母の胎内に子を還らせるように
けがれたこ おかえり
それいじょう けがれないために
おかえり
おやすみ
目を閉じる
子守唄が、低く高く
優しく耳に響く
おやすみ
**************
わけがわかりません、先生
でも自分的にはこういう話が一番書きやすいってあたりに
才能のなさを感じますね
多分このあと シルキーあたりが怒りながら起こしに来てくれると思われます
シルキーがいる限り
彼が不幸になる事はないのですよ(多分
・・・誰に説明してるんだ?俺
http://mia.s12.xrea.com/setu16.jpg
こもりうたが きこえる
うっすらと目をあけると、
見えるのは一面 白
「・・・あ・・・」
真っ白な 世界
穢れなど知らないかのように 舞い落ちる白い羽根
自分の手を見る
赤くこびりついた、穢れ
もう、とれない
「・・・消して」
あおむけになって、空へ手を伸ばす
「・・・消してよ」
この白い世界に、穢れた自分は要らないから
「・・・消して・・・」
しんしんと、深々と、雪は降る
誰の上にも平等に
しんしんと、深々と、雪が降る
・・・雪の音が、きこえる
せかいをしろく けがれのないばしょに
けがれたものは うまってしまえ
・・・雪が歌っている
「・・・いいよ」
消して
汚らわしいこの体を 消して
体がどんどん冷たくなっていく
手の先から 足の先まで
子守唄が体を包み込んでいく
母の胎内に子を還らせるように
けがれたこ おかえり
それいじょう けがれないために
おかえり
おやすみ
目を閉じる
子守唄が、低く高く
優しく耳に響く
おやすみ
**************
わけがわかりません、先生
でも自分的にはこういう話が一番書きやすいってあたりに
才能のなさを感じますね
多分このあと シルキーあたりが怒りながら起こしに来てくれると思われます
シルキーがいる限り
彼が不幸になる事はないのですよ(多分
・・・誰に説明してるんだ?俺
2日の日記 その3
2004年4月2日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツ21 空
http://mia.s12.xrea.com/setu21.jpg
「ということで、勝負は太陽の勝ちで・・・」
「納得いかないーっ!」
じたばたと、お兄ちゃんの膝の上で暴れるわたし
「シ、シルキー
そう言われても、こういうお話なんだよ・・・」
絵本の題名は『北風と太陽』
誰でも知ってる童話だ
そんなもので、なんでわたしがこんなに真剣になってるかというと・・・
「おい、なに騒いでるんだよ、2人とも」
「あ、ザード 用意できた?」
「おう」
お兄ちゃんが、絵本を閉じて立ち上がる
今日は、午後から2人で出かけるんだそうだ
そのこと自体はよくあること
・・・だけど、こんな話を聞いたあとじゃ
釘のひとつもさしたくなるってものよ
「ザード!」
「へ?」
お兄ちゃんの腕をつかまえて、ザードをにらみつける
「お兄ちゃんは渡さないからね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
なんかお兄ちゃんまで変な顔してるけど気にしない
「・・・まぁ、わかった」
憮然とした顔で、それでもザードはうなづいた
こういうとき、いいやつだって思っちゃうから
それ以上わたしは何も言えなくなるのだ
「・・・それじゃ、行ってくるから」
やっと元に戻ったらしいお兄ちゃんが、
わたしの手を軽くほどいて、頭にぽんと自分の手をおいて笑って言った
「・・・うん」
「お土産買ってくるから いい子でお留守番しててね」
「・・・うん」
「んじゃ、行ってくる」
「行ってきます」
「・・・行ってらっしゃい」
2人がいなくなったあと、床に座って、絵本を抱える
「・・・だって、悔しかったんだもん」
太陽は、空を明るく照らすけど
雲は、空を覆い隠してしまう
ザードは明るいし、いいヤツだし
だから、わたしだって嫌いなわけじゃない
・・・むしろ、だからこそ
雲が太陽に負けたこのお話が悔しかったのかもしれない
「んな心配するだけムダなのになぁ」
「え?」
横を歩いていたフォーディアが、怪訝そうにこちらを向く
「こっちの話」
「・・・・・・?」
そもそも、仮定自体が間違ってる
確かに太陽は雲に勝ったけど
それは旅人に対してのこと
空は、自分とは別のところにある太陽なんて初めから見えない
見えるのは、いつも目の前にある雲だけだ
空は、なにも言わずに見ていただけだ
雲の姿を
********************
髪の色からのネタ
空色=フォーディア
太陽色(?=ザード
雲色=シルキー
高度が違うんだから太陽が空から見えないのはある意味当たり前ですが
てか 宇宙にまで話を広げるとまた違いますけどね・・・
そこはツッコミなしの方向で
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「ということで、勝負は太陽の勝ちで・・・」
「納得いかないーっ!」
じたばたと、お兄ちゃんの膝の上で暴れるわたし
「シ、シルキー
そう言われても、こういうお話なんだよ・・・」
絵本の題名は『北風と太陽』
誰でも知ってる童話だ
そんなもので、なんでわたしがこんなに真剣になってるかというと・・・
「おい、なに騒いでるんだよ、2人とも」
「あ、ザード 用意できた?」
「おう」
お兄ちゃんが、絵本を閉じて立ち上がる
今日は、午後から2人で出かけるんだそうだ
そのこと自体はよくあること
・・・だけど、こんな話を聞いたあとじゃ
釘のひとつもさしたくなるってものよ
「ザード!」
「へ?」
お兄ちゃんの腕をつかまえて、ザードをにらみつける
「お兄ちゃんは渡さないからね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
なんかお兄ちゃんまで変な顔してるけど気にしない
「・・・まぁ、わかった」
憮然とした顔で、それでもザードはうなづいた
こういうとき、いいやつだって思っちゃうから
それ以上わたしは何も言えなくなるのだ
「・・・それじゃ、行ってくるから」
やっと元に戻ったらしいお兄ちゃんが、
わたしの手を軽くほどいて、頭にぽんと自分の手をおいて笑って言った
「・・・うん」
「お土産買ってくるから いい子でお留守番しててね」
「・・・うん」
「んじゃ、行ってくる」
「行ってきます」
「・・・行ってらっしゃい」
2人がいなくなったあと、床に座って、絵本を抱える
「・・・だって、悔しかったんだもん」
太陽は、空を明るく照らすけど
雲は、空を覆い隠してしまう
ザードは明るいし、いいヤツだし
だから、わたしだって嫌いなわけじゃない
・・・むしろ、だからこそ
雲が太陽に負けたこのお話が悔しかったのかもしれない
「んな心配するだけムダなのになぁ」
「え?」
横を歩いていたフォーディアが、怪訝そうにこちらを向く
「こっちの話」
「・・・・・・?」
そもそも、仮定自体が間違ってる
確かに太陽は雲に勝ったけど
それは旅人に対してのこと
空は、自分とは別のところにある太陽なんて初めから見えない
見えるのは、いつも目の前にある雲だけだ
空は、なにも言わずに見ていただけだ
雲の姿を
********************
髪の色からのネタ
空色=フォーディア
太陽色(?=ザード
雲色=シルキー
高度が違うんだから太陽が空から見えないのはある意味当たり前ですが
てか 宇宙にまで話を広げるとまた違いますけどね・・・
そこはツッコミなしの方向で
2日の日記 その2
2004年4月2日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツ22 褥 (しとね:眠る場所。)
http://mia.s12.xrea.com/setu22.jpg
それにしても寒いなぁ、と
手をこすり合わせる
雪は綺麗だから好きなんだけど
寒いのは好きじゃない
「寒い?」
困ったような顔で、お兄ちゃんが聞いてくる
「あ、ううん、大丈夫だよ」
貨物船のすみっこに座り込んで、
寒いのはお兄ちゃんも同じ
穴のあいた壁から雪が吹き込んできて
お兄ちゃんの体に積もる
「あ・・・」
気づかなかったけど、お兄ちゃんは風除けをしていてくれてるみたいだ
「お兄ちゃん、場所・・・」
「いいんだよ」
そう言って笑った顔は、やっぱりちょっと引きつってた
「・・・・・・」
「・・・何笑ってるの、シルキー」
「えっ、なんでもないよっ」
わたしが言うのもおかしいけど、
そこらへんが年相応の子供なんだなぁって思ったら
急に笑いが・・・
「んー・・・それにしても、毛布の一枚くらいどこかからかっぱらってくればよかったかな」
・・・かっぱらうって、お兄ちゃんが言うとすごく違和感があるんだけど
でも、たしかに今は毛布の一枚でもいいから、少しでもこの寒さをしのげるものがほしい
「あ、そうだ」
思いつくのと行動するのと、ほとんど同時だった気がする
「わっ、シルキー?」
「こうすればあったかいでしょ?」
抱きついたまま、顔をすりよせる
少なくとも、わたしはとてもあったかい
「・・・うん、そうだね」
苦笑したような声でそう言って、お兄ちゃんもわたしの背に手を回した
「あったかい」
「でしょ」
風をさえぎる天蓋はなくても
体を温める布の一枚もなくても
お兄ちゃんがいれば、いつでもどこでもわたしはあたたかくいられる
******************
安直に人間ベッドにしてもよかったんですが(むしろ違うのかと言われそうだ
ベッドって、安心して安らげるところというイメージがあるので
こんなんにしてみました
ちなみに場面は ザード一週間イベントでちろっと出てきた
アルテミスに渡る途中の2人です
ダンジョンでモンスターをぼこしまくりとかしてないので
とても彼らは貧乏です
http://mia.s12.xrea.com/setu22.jpg
それにしても寒いなぁ、と
手をこすり合わせる
雪は綺麗だから好きなんだけど
寒いのは好きじゃない
「寒い?」
困ったような顔で、お兄ちゃんが聞いてくる
「あ、ううん、大丈夫だよ」
貨物船のすみっこに座り込んで、
寒いのはお兄ちゃんも同じ
穴のあいた壁から雪が吹き込んできて
お兄ちゃんの体に積もる
「あ・・・」
気づかなかったけど、お兄ちゃんは風除けをしていてくれてるみたいだ
「お兄ちゃん、場所・・・」
「いいんだよ」
そう言って笑った顔は、やっぱりちょっと引きつってた
「・・・・・・」
「・・・何笑ってるの、シルキー」
「えっ、なんでもないよっ」
わたしが言うのもおかしいけど、
そこらへんが年相応の子供なんだなぁって思ったら
急に笑いが・・・
「んー・・・それにしても、毛布の一枚くらいどこかからかっぱらってくればよかったかな」
・・・かっぱらうって、お兄ちゃんが言うとすごく違和感があるんだけど
でも、たしかに今は毛布の一枚でもいいから、少しでもこの寒さをしのげるものがほしい
「あ、そうだ」
思いつくのと行動するのと、ほとんど同時だった気がする
「わっ、シルキー?」
「こうすればあったかいでしょ?」
抱きついたまま、顔をすりよせる
少なくとも、わたしはとてもあったかい
「・・・うん、そうだね」
苦笑したような声でそう言って、お兄ちゃんもわたしの背に手を回した
「あったかい」
「でしょ」
風をさえぎる天蓋はなくても
体を温める布の一枚もなくても
お兄ちゃんがいれば、いつでもどこでもわたしはあたたかくいられる
******************
安直に人間ベッドにしてもよかったんですが(むしろ違うのかと言われそうだ
ベッドって、安心して安らげるところというイメージがあるので
こんなんにしてみました
ちなみに場面は ザード一週間イベントでちろっと出てきた
アルテミスに渡る途中の2人です
ダンジョンでモンスターをぼこしまくりとかしてないので
とても彼らは貧乏です
しばらくこれないかもだし
2004年4月2日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツお題をいっぱいやってみよう
おー
2 あの日の憧憬
http://mia.s12.xrea.com/setu2.jpg
なかないで と
そう言った彼女の方が、よっぽど泣きそうに見えた
花束というものはあまり好きじゃなかった
何故って、野に咲いている花を手折るのは
なんとなく気が引ける
花束は、本体から切り離されたそれらの集まり
切られたそれは、そう長く保たれはしない
水を与え続けても、結局はしおれてしまうのだ
それが、嫌だった
そんなの当たり前の事じゃないか、と
僕以外の人は思うかもしれないけど
でも、その摂理は何となく
僕の『記憶』に対するそれと似ていて
簡単に切り離して考える事なんてできはしないのだ
『記憶』は
それをあたえるものがいなくなった時点で
切り離された花と同意義だ
水を与えても、すぐに枯れてしまう
だからせいぜいできることといえば、
その枯れる前の姿を覚えておくことくらい
よってそれは次第に変容し、元の形をとどめぬものにすらなり・・・
「お兄ちゃん?」
ひょこっと、横合いから顔を覗き込まれた
「・・・どうかしたの? シルキー」
「え、ううん、わたしがどうしたんじゃなくて・・・
・・・お兄ちゃんが」
「僕が?」
「・・・なんか、さみしそうな顔してたから」
「・・・・・・」
あの時受け取った花はもうとうに無く、
あの時の自分の表情をこの少女は覚えてもいないかもしれない
でも、それでも
「・・・いつか、シルキーに好きな人ができても・・・
僕を、忘れないでいてくれる?」
いつまでも一緒にいて、なんて
そんな我儘は、言ってはならないことだから
「わ、忘れないでって、わたしがお兄ちゃんを忘れるわけないじゃん!
っていうか、そもそも好きな人って・・・」
「仮定の話だよ
・・・うん、でもありがとう」
そう言って、小さな体を抱きしめる
「お、おおおおおお兄ちゃん?!」
「・・・シルキーは温かいね」
「・・・・・・」
いまは、花束は嫌いじゃない
生きている限り、消えないものもあると知ったから
―――それは、あの日の・・・
********************
ただのセクハラ馬鹿兄回想録
全然憧憬でもなんでもない気がする今日この頃
シルキーは 自分から抱きつくのには慣れてますが
抱きつかれるのは慣れていない模様
ちなみに 花束渡してる時点のシルキーはちょっと髪が短いのですよ
本編のイベント絵だと分かりにくいのですが
12 「さよなら」
http://mia.s12.xrea.com/setu12.jpg
「・・・さよなら」
彼女がその言葉をつむいだ時に、僕の未来は決まってしまったから
「2人とも…今までありがとう」
ありがとう
僕の我儘に付き合ってくれて
「なに言ってんだよ
ここで別れるみたいに…」
きっと、ここが最後の引き返せる点なんだろう
・・・でも、ごめんね
「…そうだよ」
やっぱり僕は、彼女をこのままにしておけないし
離れられないんだ
「…フォーディア?」
ごめんなさい
僕がもうちょっと強かったら
貴方と生きるという選択肢もあったのかもしれないけど
「場所と場所を隔てる狭間 この時閉じよ」
「なっ…!」
「フォーディア!?」
ごめんなさい
でも本当に、あなたたちの事は好きだったんだ
だから
「…さよなら」
ありったけの感謝だけをこめて 笑顔でさよなら
********************
ほとんど本文抜き出しの上に短い
・・・まぁ、こんなのもありということで
(しばらく音信不通になるからなんか気が大きくなってる模様です
まあ、「さよなら」って見てこれしか思いつかなかったです
・・・ああ、それにしたって全然切なくないのはどういうことだろう
1 ふたり
http://mia.s12.xrea.com/setu1.jpg
「雪だ・・・!」
窓の外を見るなり、そう言って彼女は外に飛び出して行った
「あ、ちょっとシルキー!」
慌てて飛び出そうとする僕に、ザードが笑いながら2人分のコートを差し出すのも去年と同じ
「・・・ありがと」
「お前まで風邪ひかないうちに戻ってこいよ」
そして、外に出た彼女が空を見上げて佇んでいるのもいつもの・・・
「ほら」
「わ」
走ってきたせいでちょっと荒れた息を無視して、彼女にコートをかぶせる
・・・うーん、体力つけないと
「もう・・・ほら、戻るよ?
風邪はなおりかけが一番危ないんだから」
「もう大丈夫だもん!」
そう言ってむくれる彼女の頬は赤みを帯びている
それは、寒さのせいだけではないのだろう
「・・・雪なら窓からでも見えるだろう?」
シルキーが雪を好きなのは知っているし
僕としても彼女が望むものはできるだけみせてあげたい
でも、それとこれとは別だ
「ほら・・・」
「もうちょっとだけ!」
背中を押した僕の腕にしがみついて、上目遣いに見上げてくるシルキー
・・・うわ、可愛い
「・・・ちょっとだけだからね」
「うん!」
・・・まぁ、なんだかんだ言って僕が彼女に甘いのは自覚している
ザードに言わせれば、2人きりの砂糖菓子の世界なんだそうだけど
よく意味がわからない
「雪がふってる時って・・・」
「ん?」
シルキーが、どこか遠くを見つめて言う
「ぜんぶ、まっしろで・・・世界になんにもなくなっちゃったみたい」
「・・・・・・」
白い世界
・・・別れの記憶と結びついて、それがいまだに僕は好きになれない
「だから、ね」
いきなり、シルキーは僕の体に抱きついてきて
「シルキー?」
「こうしてると、ほんとにふたりっきりだよね」
満面の笑みで、そんなことを言った
・・・あの記憶を消すことなんてできないけど
「・・・雪は、シルキーの色でもあるしね」
「え?」
それでも、いつか
「・・・好きになれる日が来るかもしれない」
君が、そばにいてくれるなら
*******************
痛寒いものばかり描いてるのもなんなので
たまにはラブラブ(?)させてみようとしたら・・・
・・・別の意味で痛いよ先生
そしてザードは何気にポエマーという設定があったりする
ちなみに、雪色って色 なかったですかね・・・?
おー
2 あの日の憧憬
http://mia.s12.xrea.com/setu2.jpg
なかないで と
そう言った彼女の方が、よっぽど泣きそうに見えた
花束というものはあまり好きじゃなかった
何故って、野に咲いている花を手折るのは
なんとなく気が引ける
花束は、本体から切り離されたそれらの集まり
切られたそれは、そう長く保たれはしない
水を与え続けても、結局はしおれてしまうのだ
それが、嫌だった
そんなの当たり前の事じゃないか、と
僕以外の人は思うかもしれないけど
でも、その摂理は何となく
僕の『記憶』に対するそれと似ていて
簡単に切り離して考える事なんてできはしないのだ
『記憶』は
それをあたえるものがいなくなった時点で
切り離された花と同意義だ
水を与えても、すぐに枯れてしまう
だからせいぜいできることといえば、
その枯れる前の姿を覚えておくことくらい
よってそれは次第に変容し、元の形をとどめぬものにすらなり・・・
「お兄ちゃん?」
ひょこっと、横合いから顔を覗き込まれた
「・・・どうかしたの? シルキー」
「え、ううん、わたしがどうしたんじゃなくて・・・
・・・お兄ちゃんが」
「僕が?」
「・・・なんか、さみしそうな顔してたから」
「・・・・・・」
あの時受け取った花はもうとうに無く、
あの時の自分の表情をこの少女は覚えてもいないかもしれない
でも、それでも
「・・・いつか、シルキーに好きな人ができても・・・
僕を、忘れないでいてくれる?」
いつまでも一緒にいて、なんて
そんな我儘は、言ってはならないことだから
「わ、忘れないでって、わたしがお兄ちゃんを忘れるわけないじゃん!
っていうか、そもそも好きな人って・・・」
「仮定の話だよ
・・・うん、でもありがとう」
そう言って、小さな体を抱きしめる
「お、おおおおおお兄ちゃん?!」
「・・・シルキーは温かいね」
「・・・・・・」
いまは、花束は嫌いじゃない
生きている限り、消えないものもあると知ったから
―――それは、あの日の・・・
********************
ただのセクハラ馬鹿兄回想録
全然憧憬でもなんでもない気がする今日この頃
シルキーは 自分から抱きつくのには慣れてますが
抱きつかれるのは慣れていない模様
ちなみに 花束渡してる時点のシルキーはちょっと髪が短いのですよ
本編のイベント絵だと分かりにくいのですが
12 「さよなら」
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「・・・さよなら」
彼女がその言葉をつむいだ時に、僕の未来は決まってしまったから
「2人とも…今までありがとう」
ありがとう
僕の我儘に付き合ってくれて
「なに言ってんだよ
ここで別れるみたいに…」
きっと、ここが最後の引き返せる点なんだろう
・・・でも、ごめんね
「…そうだよ」
やっぱり僕は、彼女をこのままにしておけないし
離れられないんだ
「…フォーディア?」
ごめんなさい
僕がもうちょっと強かったら
貴方と生きるという選択肢もあったのかもしれないけど
「場所と場所を隔てる狭間 この時閉じよ」
「なっ…!」
「フォーディア!?」
ごめんなさい
でも本当に、あなたたちの事は好きだったんだ
だから
「…さよなら」
ありったけの感謝だけをこめて 笑顔でさよなら
********************
ほとんど本文抜き出しの上に短い
・・・まぁ、こんなのもありということで
(しばらく音信不通になるからなんか気が大きくなってる模様です
まあ、「さよなら」って見てこれしか思いつかなかったです
・・・ああ、それにしたって全然切なくないのはどういうことだろう
1 ふたり
http://mia.s12.xrea.com/setu1.jpg
「雪だ・・・!」
窓の外を見るなり、そう言って彼女は外に飛び出して行った
「あ、ちょっとシルキー!」
慌てて飛び出そうとする僕に、ザードが笑いながら2人分のコートを差し出すのも去年と同じ
「・・・ありがと」
「お前まで風邪ひかないうちに戻ってこいよ」
そして、外に出た彼女が空を見上げて佇んでいるのもいつもの・・・
「ほら」
「わ」
走ってきたせいでちょっと荒れた息を無視して、彼女にコートをかぶせる
・・・うーん、体力つけないと
「もう・・・ほら、戻るよ?
風邪はなおりかけが一番危ないんだから」
「もう大丈夫だもん!」
そう言ってむくれる彼女の頬は赤みを帯びている
それは、寒さのせいだけではないのだろう
「・・・雪なら窓からでも見えるだろう?」
シルキーが雪を好きなのは知っているし
僕としても彼女が望むものはできるだけみせてあげたい
でも、それとこれとは別だ
「ほら・・・」
「もうちょっとだけ!」
背中を押した僕の腕にしがみついて、上目遣いに見上げてくるシルキー
・・・うわ、可愛い
「・・・ちょっとだけだからね」
「うん!」
・・・まぁ、なんだかんだ言って僕が彼女に甘いのは自覚している
ザードに言わせれば、2人きりの砂糖菓子の世界なんだそうだけど
よく意味がわからない
「雪がふってる時って・・・」
「ん?」
シルキーが、どこか遠くを見つめて言う
「ぜんぶ、まっしろで・・・世界になんにもなくなっちゃったみたい」
「・・・・・・」
白い世界
・・・別れの記憶と結びついて、それがいまだに僕は好きになれない
「だから、ね」
いきなり、シルキーは僕の体に抱きついてきて
「シルキー?」
「こうしてると、ほんとにふたりっきりだよね」
満面の笑みで、そんなことを言った
・・・あの記憶を消すことなんてできないけど
「・・・雪は、シルキーの色でもあるしね」
「え?」
それでも、いつか
「・・・好きになれる日が来るかもしれない」
君が、そばにいてくれるなら
*******************
痛寒いものばかり描いてるのもなんなので
たまにはラブラブ(?)させてみようとしたら・・・
・・・別の意味で痛いよ先生
そしてザードは何気にポエマーという設定があったりする
ちなみに、雪色って色 なかったですかね・・・?
そういえば
2004年3月31日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツとあるゲームのパッケージを見て
「んー、主人公青くしよう」(フォーディアです
と思ったそのキャラが
実は女性だったことを知って
ちょっとショックだった今日この頃
てなことで 今日のお題いってみませう
お題やってるヒマがあるなら
ゲーム作るの進めろよって感じですが
25 美しいもの(ネタバレなし・・・?
http://mia.s12.xrea.com/setu25.jpg
きれいだから きれいなものでかくしておこうと思っただけ
「きやすくさわってんじゃないわよこのケダモノーっ!!」
どっかーん、と
火山だってこんな音は立てないだろうってくらいの
大音量とともに、オディアルは割れた窓ごと飛んでいった
「わーっ、オディアルっ!」
血相を変えてシルフィンが外に飛び出していく
多分海のほうまで飛ばしたから、探すの大変だと思うなぁ
「・・・はぁ」
深呼吸して、荒れた息を落ち着かせる
・・・ったく、あのケダモノが・・・!
「・・・えっと・・・?」
わたしが息を落ち着かせたところで、
状況のわかっていなかったらしいお兄ちゃんが
首を傾げてこっちを見てきた
「・・・まったく
アイツもアイツだけど、お兄ちゃんもお兄ちゃんだよ?」
ずかずかとお兄ちゃんのとこまで歩いていって
その隣りにすわる
「・・・ああ、また髪いじられたんだ?」
「そうだよっ!」
ほんっとにヒマなのか
細かく編まれた三つ編みを解いていく
「僕は気にしないんだけどな もう慣れたから」
「お兄ちゃんが気にしなくてもわたしがイヤなの!」
「うーん・・・いじられたところでどうにかなるものじゃないし・・・
シルキーもいつもいじってるだろ?」
「・・・わたし以外はダメなの!」
「・・・・・・?」
ああもう、この人はこういう事は本当ににぶい
慣れたからがっかりとかはしないけどねっ
・・・そもそも、お兄ちゃんの髪が長いのは
わたしが遊ぶためでも、お兄ちゃんの意思でもなく
まして、他の誰かにいじくらせるためじゃない
・・・それは ほんの偶然で
わたしたちが、あの家に移り住んですぐのころ
暖炉の前で本を読みながら寝てしまったらしいお兄ちゃんに
しょうがないなぁ、とか言いながら
毛布をかけてあげようとしたとき
ずり下がった襟首の下に 太い裂傷が走っていた
それがなんであるかは、
『それ』のためにここにいるわたしにはすぐに分かった
だから・・・
・・・だから
・・・自分の落ち度を、見るのが辛かった
『ねえ、お兄ちゃん 髪のばしてみない?』
『ね、この服似合うと思う』
伸ばした髪は、万一にも他人にそれを見られるのを防ぐため
肩の出た服は、他人に体に傷なんて無いように思わせるため
あどけなく装って、その下にあるのは計算
「・・・シルキー?」
はっとする
どうやらぼーっとしてたみたい
「なんでもないよ」
笑って、作業を続ける
「・・・・・・」
でも、と思う
隠しているものは
たとえ傷だらけでも きれいなものだから
それ自体は、自分の傷を晒すことで更に傷つくような、そういうものだから
「・・・シルキー?」
それを隠すものもまた、きれいじゃないといけない
だから
なかを知っているわたし以外が触れるのなんて 許さない
*************************
策士シルキー
途中まで3番のつもりで書いてたことはナイショです
てか・・・いい加減痛いな
そろそろやめるか(あと27個残ってるけど
・・・全然切なくないし^^;
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
「んー、主人公青くしよう」(フォーディアです
と思ったそのキャラが
実は女性だったことを知って
ちょっとショックだった今日この頃
てなことで 今日のお題いってみませう
お題やってるヒマがあるなら
ゲーム作るの進めろよって感じですが
25 美しいもの(ネタバレなし・・・?
http://mia.s12.xrea.com/setu25.jpg
きれいだから きれいなものでかくしておこうと思っただけ
「きやすくさわってんじゃないわよこのケダモノーっ!!」
どっかーん、と
火山だってこんな音は立てないだろうってくらいの
大音量とともに、オディアルは割れた窓ごと飛んでいった
「わーっ、オディアルっ!」
血相を変えてシルフィンが外に飛び出していく
多分海のほうまで飛ばしたから、探すの大変だと思うなぁ
「・・・はぁ」
深呼吸して、荒れた息を落ち着かせる
・・・ったく、あのケダモノが・・・!
「・・・えっと・・・?」
わたしが息を落ち着かせたところで、
状況のわかっていなかったらしいお兄ちゃんが
首を傾げてこっちを見てきた
「・・・まったく
アイツもアイツだけど、お兄ちゃんもお兄ちゃんだよ?」
ずかずかとお兄ちゃんのとこまで歩いていって
その隣りにすわる
「・・・ああ、また髪いじられたんだ?」
「そうだよっ!」
ほんっとにヒマなのか
細かく編まれた三つ編みを解いていく
「僕は気にしないんだけどな もう慣れたから」
「お兄ちゃんが気にしなくてもわたしがイヤなの!」
「うーん・・・いじられたところでどうにかなるものじゃないし・・・
シルキーもいつもいじってるだろ?」
「・・・わたし以外はダメなの!」
「・・・・・・?」
ああもう、この人はこういう事は本当ににぶい
慣れたからがっかりとかはしないけどねっ
・・・そもそも、お兄ちゃんの髪が長いのは
わたしが遊ぶためでも、お兄ちゃんの意思でもなく
まして、他の誰かにいじくらせるためじゃない
・・・それは ほんの偶然で
わたしたちが、あの家に移り住んですぐのころ
暖炉の前で本を読みながら寝てしまったらしいお兄ちゃんに
しょうがないなぁ、とか言いながら
毛布をかけてあげようとしたとき
ずり下がった襟首の下に 太い裂傷が走っていた
それがなんであるかは、
『それ』のためにここにいるわたしにはすぐに分かった
だから・・・
・・・だから
・・・自分の落ち度を、見るのが辛かった
『ねえ、お兄ちゃん 髪のばしてみない?』
『ね、この服似合うと思う』
伸ばした髪は、万一にも他人にそれを見られるのを防ぐため
肩の出た服は、他人に体に傷なんて無いように思わせるため
あどけなく装って、その下にあるのは計算
「・・・シルキー?」
はっとする
どうやらぼーっとしてたみたい
「なんでもないよ」
笑って、作業を続ける
「・・・・・・」
でも、と思う
隠しているものは
たとえ傷だらけでも きれいなものだから
それ自体は、自分の傷を晒すことで更に傷つくような、そういうものだから
「・・・シルキー?」
それを隠すものもまた、きれいじゃないといけない
だから
なかを知っているわたし以外が触れるのなんて 許さない
*************************
策士シルキー
途中まで3番のつもりで書いてたことはナイショです
てか・・・いい加減痛いな
そろそろやめるか(あと27個残ってるけど
・・・全然切なくないし^^;
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
http://mia.s12.xrea.com/setu14.jpg
君の手を引いていけるのは 僕だけだと思ってた
「まってってばー!」
「もー、早くしないとなくなっちゃうって!」
バタバタと、騒々しいといえなくもない音をたてて
2人の少女が廊下を駆けていく
「なにやってんだ? あいつら」
その後姿を見送って、かたわらのオディアルが首をかしげる
「多分、クルスの焼いたアップルパイねらいじゃないかな
朝、作るようなこと言ってたから そろそろだと思う」
「ああ、なるほどな・・・」
まぁ、クルスの料理はたしかにどれも美味しいから
急ぐ気持ちも分からなくはない
意識を つとさかのぼらせれば
はしゃいだ声と
上気した頬と
遠ざかる足音と
繋がれた 手
いつも 困ったような顔をしていて
他人の痛みには臆病なのに
自分の痛みには頓着しない
そんなアンバランスな白い少女の手を
僕はいつも握っていた
彼女が道に迷わないように
彼女が不安に泣かないように
彼女の手が冷えないように
彼女が僕から離れないように
だって 彼女はあまりに儚くて
手を離したら消えてしまいそうだったから
ああ、なのにどうして
あの時、どうして
・・・一時でも、彼女の手を放してしまったんだろう
『お兄ちゃ… 大丈夫…?』
再び握ったその手は まだ温かかった
『ムダだよ… 自分で分かる…もん…』
そう微笑う彼女の表情はいつものものなのに
体はまだ温かいのに
白すぎる肌はいつもにも増して白くなり
銀糸の髪は赤く染まり
『…お…にい…ちゃ…ん…』
その声は、あふれる血でさえぎられてよく聞こえなかった けど
『…さよなら』
その一言と共に滑り落ちた手を 僕は握り返せなかった
人生にはきっと
たったひとつ それだけはしてはいけないことってのがあると思う
僕の場合 それをあの時にやってしまって
だから・・・
「おい、どうした?」
はっとすると、目の前に水色の瞳があった
「・・・なんでもないよ」
どうやらぼうっとしていたみたいだ
のぞき込まれているのに気づかなかったらしい
「そんなに気になるんなら、行けばいいだろ」
そう言って、くいっと2人が走っていった方を指すオディアル
「そこまで過保護じゃないよ? 僕は」
「・・・はっ、どの口で言ってるんだか」
「うるさいよ、番犬君」
「・・・・・・」
途端むすっとしたオディアルににっこりと笑いかけて
「君と一緒にしないでほしいね」
逃げるように廊下を走っていった
もう、間違えない
儚くて 手を握っていなければ消えそうだった彼女
事実、そうだった彼女
だから、何が悪かったかといえば
それは、『僕が』彼女の手を握っていたということ
だから
この手はもう のばされない
************************
一応13と繋がってますが
時間軸的にはかなり離れてます
ファントワでの話だと思われます
いやぁ、電波っぽいなぁ フォーディア
これが地ですが
ちなみにシルキーの手を引っ張ってるのはシルフィンです
オディアルとフォーディア
シルフィンとシルキー
もしくは上段+下段カップルだと仲がいいのに
オディとシルキー
フォーディアとシルフィンは仲が悪いという
よく分からない4人です
というか、男2人は仲良くさせるつもりなかったのに
いつの間にか仲良くなってたので
さらによく分からない人たち
なんで昨日今日と自分の描いたお題を痛いと思うか
わかりました
自分で自分の作品を2次創作してる気分だからですね
・・・てか、今気づいたのですが
・・・手、振り払ってないじゃん!
あああ・・・そもそもお題にそってないなんて(汗
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
君の手を引いていけるのは 僕だけだと思ってた
「まってってばー!」
「もー、早くしないとなくなっちゃうって!」
バタバタと、騒々しいといえなくもない音をたてて
2人の少女が廊下を駆けていく
「なにやってんだ? あいつら」
その後姿を見送って、かたわらのオディアルが首をかしげる
「多分、クルスの焼いたアップルパイねらいじゃないかな
朝、作るようなこと言ってたから そろそろだと思う」
「ああ、なるほどな・・・」
まぁ、クルスの料理はたしかにどれも美味しいから
急ぐ気持ちも分からなくはない
意識を つとさかのぼらせれば
はしゃいだ声と
上気した頬と
遠ざかる足音と
繋がれた 手
いつも 困ったような顔をしていて
他人の痛みには臆病なのに
自分の痛みには頓着しない
そんなアンバランスな白い少女の手を
僕はいつも握っていた
彼女が道に迷わないように
彼女が不安に泣かないように
彼女の手が冷えないように
彼女が僕から離れないように
だって 彼女はあまりに儚くて
手を離したら消えてしまいそうだったから
ああ、なのにどうして
あの時、どうして
・・・一時でも、彼女の手を放してしまったんだろう
『お兄ちゃ… 大丈夫…?』
再び握ったその手は まだ温かかった
『ムダだよ… 自分で分かる…もん…』
そう微笑う彼女の表情はいつものものなのに
体はまだ温かいのに
白すぎる肌はいつもにも増して白くなり
銀糸の髪は赤く染まり
『…お…にい…ちゃ…ん…』
その声は、あふれる血でさえぎられてよく聞こえなかった けど
『…さよなら』
その一言と共に滑り落ちた手を 僕は握り返せなかった
人生にはきっと
たったひとつ それだけはしてはいけないことってのがあると思う
僕の場合 それをあの時にやってしまって
だから・・・
「おい、どうした?」
はっとすると、目の前に水色の瞳があった
「・・・なんでもないよ」
どうやらぼうっとしていたみたいだ
のぞき込まれているのに気づかなかったらしい
「そんなに気になるんなら、行けばいいだろ」
そう言って、くいっと2人が走っていった方を指すオディアル
「そこまで過保護じゃないよ? 僕は」
「・・・はっ、どの口で言ってるんだか」
「うるさいよ、番犬君」
「・・・・・・」
途端むすっとしたオディアルににっこりと笑いかけて
「君と一緒にしないでほしいね」
逃げるように廊下を走っていった
もう、間違えない
儚くて 手を握っていなければ消えそうだった彼女
事実、そうだった彼女
だから、何が悪かったかといえば
それは、『僕が』彼女の手を握っていたということ
だから
この手はもう のばされない
************************
一応13と繋がってますが
時間軸的にはかなり離れてます
ファントワでの話だと思われます
いやぁ、電波っぽいなぁ フォーディア
これが地ですが
ちなみにシルキーの手を引っ張ってるのはシルフィンです
オディアルとフォーディア
シルフィンとシルキー
もしくは上段+下段カップルだと仲がいいのに
オディとシルキー
フォーディアとシルフィンは仲が悪いという
よく分からない4人です
というか、男2人は仲良くさせるつもりなかったのに
いつの間にか仲良くなってたので
さらによく分からない人たち
なんで昨日今日と自分の描いたお題を痛いと思うか
わかりました
自分で自分の作品を2次創作してる気分だからですね
・・・てか、今気づいたのですが
・・・手、振り払ってないじゃん!
あああ・・・そもそもお題にそってないなんて(汗
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
13.繋いだ手
2004年3月29日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツhttp://mia.s12.xrea.com/setu13.jpg
今日は、ほんとうに天気がいいから
かみさま ほしいものがあるんです
日のあたる丘にねころんで
お日さまと風をからだで感じる
海に面した丘の上にあるわたしたちの家
逃げて逃げて たどり着いた場所
そう とおくない未来に
このあたたかい場所にいられなくなるのを知ってる
知っているけど
こころの準備ができていても
こわいものは こわい
さみしいものは さみしい
・・・ああ、しずかな足音がきこえてくる
わたしを起こさないように、気をつけて歩いてくるひと
そして、わたしの横でその音はとまる
「もう・・・またこんなとこで寝てる」
かがみこんで、わたしの髪をなでる気配
それがあんまりきもちよくて、
半分まどろんでいた体が
反射的にその手を赤ちゃんみたいににぎりかえす
「・・・・・・」
彼がいまどんなカオをしているかは分からない
でも、わたしよりつよいチカラでにぎりかえされた手にあんしんして
わたしのねむけはどんどんつよくなっていく
「・・・から」
なんていったの?
ねむくてねむくて、せかいがどんどんとおくなる
おとも ひかりも どんどんうすれていくセカイ
そのなかで つながれた て だけが
たしかに そこにある
いとしそうに わたしのかみをなでて
しんぱいげに わたしのひたいにあてられる
いつくしむように わたしのほおにふれて
つらそうに わたしのせをさする
ほそくてやわらかい やさしい て
ねえ、かみさま
きょうはこんなに てんきがよくて あたたかいから
ちょっとだけ
ひとつだけでいいんです
おひさまと おんなじあったかい このてのぬくもりを
さいごまで もっていってもいいですか?
***************************
やっちゃった感の・・・
・・・だってやりたかったんだもん(開き直り
最近ファントワばっかかいてたら
かきやすいこの人たちが無性に書きたくなったんです
しかし・・・いかに自分がBGMに頼っているかわかりますね
無音で見ると ただの痛い文だ
・・・BGM付いても痛いものは痛いんだとか言わない そこ
オリキャラでお題やるのが痛いとは言いません
みあさんの書くブツが痛いんです
この先も書くとしたら やっぱりオリキャラで書くと思われます
んでもって やっぱり雪夜で
というかこの2人で
イタイものが嫌いな人は早々にお逃げした方がよろしいかと
しかし
ひとつだけ この2人でやってはいけない気がするのは
20.キス
・・・だって・・・ねぇ?(何
あと思いつかないのが
28.雨の夜
雨というと・・・
・・・うーん・・・ 雪だったら楽だったんですが
・・・あ、上の文で自分でも意味不明だろとか思う部分をちょっと補足
天気がいいから持ってってもいいですか って訊いているのは
今日はこれだけ天気がいいんだから
ちょっとくらい あったかいもんを自分がもらったっていいよね
てことです
ああ 解説しなきゃ分からないというかしても分からないというか・・・
・・・物かきとして終わってるだろ、これは
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
今日は、ほんとうに天気がいいから
かみさま ほしいものがあるんです
日のあたる丘にねころんで
お日さまと風をからだで感じる
海に面した丘の上にあるわたしたちの家
逃げて逃げて たどり着いた場所
そう とおくない未来に
このあたたかい場所にいられなくなるのを知ってる
知っているけど
こころの準備ができていても
こわいものは こわい
さみしいものは さみしい
・・・ああ、しずかな足音がきこえてくる
わたしを起こさないように、気をつけて歩いてくるひと
そして、わたしの横でその音はとまる
「もう・・・またこんなとこで寝てる」
かがみこんで、わたしの髪をなでる気配
それがあんまりきもちよくて、
半分まどろんでいた体が
反射的にその手を赤ちゃんみたいににぎりかえす
「・・・・・・」
彼がいまどんなカオをしているかは分からない
でも、わたしよりつよいチカラでにぎりかえされた手にあんしんして
わたしのねむけはどんどんつよくなっていく
「・・・から」
なんていったの?
ねむくてねむくて、せかいがどんどんとおくなる
おとも ひかりも どんどんうすれていくセカイ
そのなかで つながれた て だけが
たしかに そこにある
いとしそうに わたしのかみをなでて
しんぱいげに わたしのひたいにあてられる
いつくしむように わたしのほおにふれて
つらそうに わたしのせをさする
ほそくてやわらかい やさしい て
ねえ、かみさま
きょうはこんなに てんきがよくて あたたかいから
ちょっとだけ
ひとつだけでいいんです
おひさまと おんなじあったかい このてのぬくもりを
さいごまで もっていってもいいですか?
***************************
やっちゃった感の・・・
・・・だってやりたかったんだもん(開き直り
最近ファントワばっかかいてたら
かきやすいこの人たちが無性に書きたくなったんです
しかし・・・いかに自分がBGMに頼っているかわかりますね
無音で見ると ただの痛い文だ
・・・BGM付いても痛いものは痛いんだとか言わない そこ
オリキャラでお題やるのが痛いとは言いません
みあさんの書くブツが痛いんです
この先も書くとしたら やっぱりオリキャラで書くと思われます
んでもって やっぱり雪夜で
というかこの2人で
イタイものが嫌いな人は早々にお逃げした方がよろしいかと
しかし
ひとつだけ この2人でやってはいけない気がするのは
20.キス
・・・だって・・・ねぇ?(何
あと思いつかないのが
28.雨の夜
雨というと・・・
・・・うーん・・・ 雪だったら楽だったんですが
・・・あ、上の文で自分でも意味不明だろとか思う部分をちょっと補足
天気がいいから持ってってもいいですか って訊いているのは
今日はこれだけ天気がいいんだから
ちょっとくらい あったかいもんを自分がもらったっていいよね
てことです
ああ 解説しなきゃ分からないというかしても分からないというか・・・
・・・物かきとして終わってるだろ、これは
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより