99.記憶

そしてこの赤い世界に、僕は君を失った

「・・・たりぃ」
暮れなずむ空を見上げてそうぼやくのも、いつもの事
それを聞きとがめる人間がいないのもいつもの事
変わり映えのないマニュアルどおりの勉強をして、
変わり映えのないマニュアルどおりの説教を食らって
変わり映えのない赤い道を帰る
「今日はなんにすっかな・・・」
とりわけ自分を不幸だとは思わない
母親のいない生活にももう慣れた
ただ、飲んだくれている父親のおかげで、そろそろバイトの量を増やさないと生活維持が出来そうにないのが問題といえば問題だ
「・・・どうしたもんかな」
本当は、自分がどうしたいかなんてわかっている
だけど、踏み出す勇気も気力もない
父親には誰かいてやらなきゃいけないのだし
いくらつまらないからといって、学校をやめるわけにもいかない
だけど、あいつがいつだか言ってたように、
もし目の前にUFOが降りてきたりしたら、迷わず乗り込んだりするんだろう、自分は
何だかんだいってこの日常を続けたいと思っているくせに、非日常に対する思いは日増しに強くなる
「・・・あほらし」
だけど、打破できない限り日常はどこまでも続いていて、
自分で動かないと飯も食えない
あほらしい事を考えているヒマがあったら、働いた方が腹の足しになる
「鮭焼いて、あまってるほうれん草で胡麻和えでも作るか・・・
飯は残ってるし」

それでも

宇宙船が降りてくるのを待っている自分がいた

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微妙小説書いてみたり
や、だってウチのサイトは文章サイトらしいのでー
続くかどうかは知らんです

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