4月12日の日記
2004年4月11日 切ない30の言葉達のはずなのに切なくないブツ4 届かない背中
http://mia.s12.xrea.com/setu4.JPG
だから、なんだろうか
「シルキー!」
手の届かないところへいってしまうのを恐れるのは
真っ白い世界で
目の前の人が悲しそうな顔で何か言っている
顔なんてもう 全然覚えてないのに
悲しそうだったってことだけははっきり分かるんだ
何て言ってたかなんて覚えてるはずがないのに
泣きそうだったってことだけははっきり思い出せる
ただ見上げるだけの僕に
その人は諦めたような笑みを浮かべて
白い世界に消えていった
小さくなっていく白い背中を見て、
唐突に理解はしたのだけど
ああ、自分は捨てられたんだな と
・・・なのに
遠ざかっていく背中に、何の感慨も抱けなかった
多分、そのころから僕はおかしかったんだろう
親に捨てられて何も思わない子供なんて
きっと壊れてる
悲しいとか、つらいとか
そんな当たり前の感情は、わいてくれなかった
・・・だって、そのときに理解してしまったんだ
あの背中には 届かないって
あの人はもう、僕の存在を認めていられないから
たとえ手が届いてもその背中に僕は届かないんだって
「フォーディア!」
「・・・ぅ・・・?」
声が頭にがんがん響く
この騒がしいのは・・・
「ザード・・・?」
なんでか重いまぶたを開くと、
やっぱり、すぐ近くにザードの顔があった
「・・・なにしてんの・・・?」
「なにしてんの、じゃねぇよ!
頭打って忘れたのか!?」
血相を変えて怒鳴るザード
うるさいなぁ、そんなに大きな声で言わなくても・・・
「・・・忘れたって、なにを・・・」
うまく回らない口でそう言いかけて、
やっと、僕は腕の中のぬくもりに気づいた
「・・・シルキー・・・?
・・・あ、そうか・・・」
ご飯が出来たと呼びにきたシルキーと階段を降りてた途中
前を歩いていたシルキーがよろけて足を踏み外して、
それに咄嗟に手を伸ばして、それで・・・
「・・・シルキーは・・・」
「なんともねぇよ
お前が全身でクッションになって落ちたみたいだからな」
「・・・そっか
よかった」
落ちる背中、遠ざかる背中
重なったせいだけでは、ないだろうけど
「あのな、どこがいいんだよ」
「・・・?」
シルキーを部屋に運んでいったザードが
今度は僕を抱えあげる
「・・・っ」
う、この痛みから察すると
後頭部だけじゃなくて、背中にも結構ダメージがあるみたいだな
・・・まいったな
打ち身とか内部の傷は魔術じゃ治しにくいんだけど・・・
「シルキーだけ無事でどうするんだよ
このバカ」
「そう言われても・・・とっさのことなんだから
後先考えてられないだろ」
「後先じゃなくて、自分のことも考えろって言ってんだよ
まったく」
うつぶせにベッドに横たえられて、
後頭部に冷たいものを乗せられた
氷嚢(ひょうのう)だろう、マメなやつ
・・・てか、いつ用意したんだ
「その、いざって時にシルキーしか見えねぇっての、
どうにかしないとお前、いつか死ぬぞ」
「いいけど?」
「・・・・・・」
「いてっ」
後頭部負傷してる奴をぐーで殴るな、ぐーで!
「なんでお前が怒るんだ」
「・・・考えろ、バカ」
どかどかとやかましい音を立てて、
ザードは下に降りていってしまった
「・・・なんだ、あいつ」
何を怒ってるんだか
あいつが人をバカ呼ばわりするのは
まぁ、大抵こっちを心配してるのの裏返しだってのは
ここ2年ほどの付き合いで分かってるんだけど
「・・・いらないんだからさ」
そう、いらない
「・・・届かない、手なんて」
遠ざかる、その背中に
届かない僕なら、いらないんだ
*********************
フォーディアはフォーディアでゆがんでるわけで
・・・いや、雪夜ではそこまで書いてる余裕がなかったんですが
そこらへんも書いてみたいなぁ、とか
作中になんかのネタバレはないですね
フォーディア母イベント見てたほうが
イメージはわきやすいという程度
そしてやっぱり微妙にお題から外れてる罠
んでもってザードは3人分の食事を片付けなければならないというどうでもいいその後
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
http://mia.s12.xrea.com/setu4.JPG
だから、なんだろうか
「シルキー!」
手の届かないところへいってしまうのを恐れるのは
真っ白い世界で
目の前の人が悲しそうな顔で何か言っている
顔なんてもう 全然覚えてないのに
悲しそうだったってことだけははっきり分かるんだ
何て言ってたかなんて覚えてるはずがないのに
泣きそうだったってことだけははっきり思い出せる
ただ見上げるだけの僕に
その人は諦めたような笑みを浮かべて
白い世界に消えていった
小さくなっていく白い背中を見て、
唐突に理解はしたのだけど
ああ、自分は捨てられたんだな と
・・・なのに
遠ざかっていく背中に、何の感慨も抱けなかった
多分、そのころから僕はおかしかったんだろう
親に捨てられて何も思わない子供なんて
きっと壊れてる
悲しいとか、つらいとか
そんな当たり前の感情は、わいてくれなかった
・・・だって、そのときに理解してしまったんだ
あの背中には 届かないって
あの人はもう、僕の存在を認めていられないから
たとえ手が届いてもその背中に僕は届かないんだって
「フォーディア!」
「・・・ぅ・・・?」
声が頭にがんがん響く
この騒がしいのは・・・
「ザード・・・?」
なんでか重いまぶたを開くと、
やっぱり、すぐ近くにザードの顔があった
「・・・なにしてんの・・・?」
「なにしてんの、じゃねぇよ!
頭打って忘れたのか!?」
血相を変えて怒鳴るザード
うるさいなぁ、そんなに大きな声で言わなくても・・・
「・・・忘れたって、なにを・・・」
うまく回らない口でそう言いかけて、
やっと、僕は腕の中のぬくもりに気づいた
「・・・シルキー・・・?
・・・あ、そうか・・・」
ご飯が出来たと呼びにきたシルキーと階段を降りてた途中
前を歩いていたシルキーがよろけて足を踏み外して、
それに咄嗟に手を伸ばして、それで・・・
「・・・シルキーは・・・」
「なんともねぇよ
お前が全身でクッションになって落ちたみたいだからな」
「・・・そっか
よかった」
落ちる背中、遠ざかる背中
重なったせいだけでは、ないだろうけど
「あのな、どこがいいんだよ」
「・・・?」
シルキーを部屋に運んでいったザードが
今度は僕を抱えあげる
「・・・っ」
う、この痛みから察すると
後頭部だけじゃなくて、背中にも結構ダメージがあるみたいだな
・・・まいったな
打ち身とか内部の傷は魔術じゃ治しにくいんだけど・・・
「シルキーだけ無事でどうするんだよ
このバカ」
「そう言われても・・・とっさのことなんだから
後先考えてられないだろ」
「後先じゃなくて、自分のことも考えろって言ってんだよ
まったく」
うつぶせにベッドに横たえられて、
後頭部に冷たいものを乗せられた
氷嚢(ひょうのう)だろう、マメなやつ
・・・てか、いつ用意したんだ
「その、いざって時にシルキーしか見えねぇっての、
どうにかしないとお前、いつか死ぬぞ」
「いいけど?」
「・・・・・・」
「いてっ」
後頭部負傷してる奴をぐーで殴るな、ぐーで!
「なんでお前が怒るんだ」
「・・・考えろ、バカ」
どかどかとやかましい音を立てて、
ザードは下に降りていってしまった
「・・・なんだ、あいつ」
何を怒ってるんだか
あいつが人をバカ呼ばわりするのは
まぁ、大抵こっちを心配してるのの裏返しだってのは
ここ2年ほどの付き合いで分かってるんだけど
「・・・いらないんだからさ」
そう、いらない
「・・・届かない、手なんて」
遠ざかる、その背中に
届かない僕なら、いらないんだ
*********************
フォーディアはフォーディアでゆがんでるわけで
・・・いや、雪夜ではそこまで書いてる余裕がなかったんですが
そこらへんも書いてみたいなぁ、とか
作中になんかのネタバレはないですね
フォーディア母イベント見てたほうが
イメージはわきやすいという程度
そしてやっぱり微妙にお題から外れてる罠
んでもってザードは3人分の食事を片付けなければならないというどうでもいいその後
切 な い 3 0 の 言 葉 達
http://purety.jp/moment/30w.htmlより
コメント