17 いない
http://mia.s12.xrea.com/setu17.jpg
「ザードってば!」
「うわっ!?」
ベッドから跳ね起きると、横でフォーディアがむくれていた
「ど、どうかしたか・・・?」
「どうかしたかじゃないよ
ザードこそどうしたのさ、
こんな時間まで寝坊して」
「へ?」
窓の外では、結構高い位置で太陽が輝いている
「・・・あれ?」
「もうお昼だよ
昨夜、なんか遅くまでやってたのか?」
「うーん・・・?
やってたようなやってないような・・・」
「はっきりしないな
まぁいいよ、ほら下へ行こう」
「・・・下へ? なんで」
「なんでって・・・ボケたのか?
シルキーがご飯作って待ってるよ」
「・・・あ、ああそうか
そうだよな、俺何言ってんだろ・・・」
「まったく・・・しっかりしてくれよ」
「わるいわるい んじゃ行くか」
なにか釈然としないものを感じながらも、
俺は衣服を整えながらなれた足つきで階段を下りていった
「あーっ、今頃起きてきてーっ!!」
食堂では、さっきのフォーディアみたいな顔で
シルキーが怒っていた
「わるい」
まぁ、俺が悪いんだから素直に頭を下げる
「・・・もう、いいけどね
ホラ、そこにすわって」
「?」
見れば、テーブルの上には
いつもと比べてかなり豪華な食事が並んでいる
「・・・どうしたんだ? 今日は」
「ホントに寝ぼけてるみたいだね」
なぜかさっきよりも不機嫌なフォーディアが
つんつん、とカレンダーを指差す
「今日、何の日か覚えてないの?」
「何の日って・・・あ・・・」
カレンダーの、おそらくシルキーによるものだと思われる赤いペンで記された花マルのついている今日、その日は・・・
「・・・俺の、誕生日・・・?」
「そうだよ ホントに忘れてたの?」
「・・・う」
どうかしてる
いくら寝ぼけてるからって、自分の誕生日を・・・
「まぁ、今日は大目に見てあげるよ
だからほら、すわって」
「・・・お兄ちゃんにめんじて許してあげる」
「・・・・・・」
「ほら、ザード」
「・・・ザード、すわりなよっ」
「・・・・・・」
「・・・そう、俺の誕生日だ」
「? だからそうだって・・・」
「・・・なら、これは・・・」
「気づかないで」
つむごうとした言葉は、
フォーディアの鋭い制止にさえぎられた
「・・・気づかないで」
「・・・・・・」
ああ、気づかなきゃ良かった
・・・その方が、俺も、よかった
「・・・ごめん
・・・でも、分かっちまったから」
「・・・じゃあ、言わないで」
今度はシルキーが言う
「・・・言わないで
言わなければ・・・」
「・・・うん、俺もずっとここにいたい」
「じゃあ・・・」
「・・・でも、それはできないから」
世界のどこかが乾いた音を立てたのを きいた
「なんで?
ザードは、僕らと一緒にいたくないの?」
笑顔なのか泣き顔か分からない顔で、
フォーディアが言う
きっと、俺も同じ様な顔をしているんだろう
「・・・いたいさ
ずっとずっと、3人で・・・!」
「じゃあいいじゃない!
ザードがいて、お兄ちゃんがいて、わたしがいて
なのに、なんで・・・」
「・・・でも、ごめん
・・・やっぱり俺は・・・
・・・現実で、生きていかないと」
「ここは、夢 だから」
世界が、乾いた音をたてて壊れるのを きいた
瞬間、2人がまるで電池の切れた玩具のように止まった
「・・・っ!」
2人の姿が、さらさらと砂の像のように溶けていく
何かを叫んだように見えたけど、
泣いてるように見えたけど、
自分のかすんだ視界ではよく分からなかった
『ふふふ、今年のプレゼントはきたいしててね〜』
『だめだよシルキー 言ったら』
『わかってるってば』
そんな会話を聞いたのは
ほんの 3日前のことだったのに
プレゼントをもらえるのは
今日の はずだったのに
なのに
どうして 2人は もうどこにもいないんだろう
「・・・っ・・・」
目をあけると、いつもと少し位置のずれた見慣れた天井
・・・当然か
いつものベッドの隣りので寝ていたんだから
「・・・重症だな」
あんな夢を見るなんて
「・・・・・・」
ポケットから、
昨日見つけた小箱を取り出す
2重になっているその箱をあければ
中には行儀よくおさまっているピアス
すこし逡巡してから、
それを耳につける
「・・・ばかやろう」
鏡もないこの部屋で
似合うかどうか、誰に訊けばいいんだよ
ああ、本当に
なんでよりによってピアスなんて贈ってくれたのか
頬を伝った熱いものは
ピアスであけた穴の痛みだと思うことにした
**************
ということで
シルキーED直後の話だと思われます
春生まれなんです ザード
これのもっと長いVerに
「ぴあすのふた」とゆーのがありますが
・・・さぁ、公開するのかしないのか
http://mia.s12.xrea.com/setu17.jpg
「ザードってば!」
「うわっ!?」
ベッドから跳ね起きると、横でフォーディアがむくれていた
「ど、どうかしたか・・・?」
「どうかしたかじゃないよ
ザードこそどうしたのさ、
こんな時間まで寝坊して」
「へ?」
窓の外では、結構高い位置で太陽が輝いている
「・・・あれ?」
「もうお昼だよ
昨夜、なんか遅くまでやってたのか?」
「うーん・・・?
やってたようなやってないような・・・」
「はっきりしないな
まぁいいよ、ほら下へ行こう」
「・・・下へ? なんで」
「なんでって・・・ボケたのか?
シルキーがご飯作って待ってるよ」
「・・・あ、ああそうか
そうだよな、俺何言ってんだろ・・・」
「まったく・・・しっかりしてくれよ」
「わるいわるい んじゃ行くか」
なにか釈然としないものを感じながらも、
俺は衣服を整えながらなれた足つきで階段を下りていった
「あーっ、今頃起きてきてーっ!!」
食堂では、さっきのフォーディアみたいな顔で
シルキーが怒っていた
「わるい」
まぁ、俺が悪いんだから素直に頭を下げる
「・・・もう、いいけどね
ホラ、そこにすわって」
「?」
見れば、テーブルの上には
いつもと比べてかなり豪華な食事が並んでいる
「・・・どうしたんだ? 今日は」
「ホントに寝ぼけてるみたいだね」
なぜかさっきよりも不機嫌なフォーディアが
つんつん、とカレンダーを指差す
「今日、何の日か覚えてないの?」
「何の日って・・・あ・・・」
カレンダーの、おそらくシルキーによるものだと思われる赤いペンで記された花マルのついている今日、その日は・・・
「・・・俺の、誕生日・・・?」
「そうだよ ホントに忘れてたの?」
「・・・う」
どうかしてる
いくら寝ぼけてるからって、自分の誕生日を・・・
「まぁ、今日は大目に見てあげるよ
だからほら、すわって」
「・・・お兄ちゃんにめんじて許してあげる」
「・・・・・・」
「ほら、ザード」
「・・・ザード、すわりなよっ」
「・・・・・・」
「・・・そう、俺の誕生日だ」
「? だからそうだって・・・」
「・・・なら、これは・・・」
「気づかないで」
つむごうとした言葉は、
フォーディアの鋭い制止にさえぎられた
「・・・気づかないで」
「・・・・・・」
ああ、気づかなきゃ良かった
・・・その方が、俺も、よかった
「・・・ごめん
・・・でも、分かっちまったから」
「・・・じゃあ、言わないで」
今度はシルキーが言う
「・・・言わないで
言わなければ・・・」
「・・・うん、俺もずっとここにいたい」
「じゃあ・・・」
「・・・でも、それはできないから」
世界のどこかが乾いた音を立てたのを きいた
「なんで?
ザードは、僕らと一緒にいたくないの?」
笑顔なのか泣き顔か分からない顔で、
フォーディアが言う
きっと、俺も同じ様な顔をしているんだろう
「・・・いたいさ
ずっとずっと、3人で・・・!」
「じゃあいいじゃない!
ザードがいて、お兄ちゃんがいて、わたしがいて
なのに、なんで・・・」
「・・・でも、ごめん
・・・やっぱり俺は・・・
・・・現実で、生きていかないと」
「ここは、夢 だから」
世界が、乾いた音をたてて壊れるのを きいた
瞬間、2人がまるで電池の切れた玩具のように止まった
「・・・っ!」
2人の姿が、さらさらと砂の像のように溶けていく
何かを叫んだように見えたけど、
泣いてるように見えたけど、
自分のかすんだ視界ではよく分からなかった
『ふふふ、今年のプレゼントはきたいしててね〜』
『だめだよシルキー 言ったら』
『わかってるってば』
そんな会話を聞いたのは
ほんの 3日前のことだったのに
プレゼントをもらえるのは
今日の はずだったのに
なのに
どうして 2人は もうどこにもいないんだろう
「・・・っ・・・」
目をあけると、いつもと少し位置のずれた見慣れた天井
・・・当然か
いつものベッドの隣りので寝ていたんだから
「・・・重症だな」
あんな夢を見るなんて
「・・・・・・」
ポケットから、
昨日見つけた小箱を取り出す
2重になっているその箱をあければ
中には行儀よくおさまっているピアス
すこし逡巡してから、
それを耳につける
「・・・ばかやろう」
鏡もないこの部屋で
似合うかどうか、誰に訊けばいいんだよ
ああ、本当に
なんでよりによってピアスなんて贈ってくれたのか
頬を伝った熱いものは
ピアスであけた穴の痛みだと思うことにした
**************
ということで
シルキーED直後の話だと思われます
春生まれなんです ザード
これのもっと長いVerに
「ぴあすのふた」とゆーのがありますが
・・・さぁ、公開するのかしないのか
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