リレー小説―9

「・・・を、連れて来い」
・・・ハイ、分かりました
「分かっていると思うが、もし失敗した場合、
お前の・・・は、・・・ることを肝に銘じておけ」
・・・ハイ、分かっています
「では行け　ユウ・・・」
・・・ハイ、分かりました

「・・・ふえあっ？」
よく分からない奇声を発して・・・いや、それは起きててもか・・・そいつは、目を覚ました
「・・・起きたか」
「・・・・・・」
俺が声をかけても、起きたばかりで頭が働かないのか、ぽやーっと俺を見つめている
「水でもかける？」
「・・・いや、いい」
「・・・み、ず・・・？」
「あ？」
その単語を繰り返す少女の目は、どこかうつろで
「何だ、水がどうかしたのか？」
「・・・ぼ、ぼく、まだ、しっぱい、してない・・・っ」
「え？」
「まだ、しっぱいしてないよっ・・・！」
呂律の回っていない、震えるその声は
明らかに、おびえていた
「・・・よく分からないが、水かけないから落ち着け」
「・・・ほん、とう・・・にっ・・・？」
さっきまでレーザーで人を切り刻もうとしていた奴とは思えないくらい、弱々しい声で
不安げに俺を見上げてきた
「ああ」
甘い、と睨むネイの視線を背中に感じつつも、怯える女の子に嫌がることをするなんて、出来ない
「・・・や・・・」
「や？」
「やっぱり、大好きなんだねっ！」
「うおっ！？」
突然タックルをかまされて、背後の壁まで吹っ飛ばされる
・・・腹に抱きついた少女と共に
「・・・うーん・・・」
それを止めようとしたネイは、俺と壁に挟まれてつぶれている
「お、おいっ！」
引き剥がそうとするも、離れてくれない
・・・てか、糸いつの間に切ったんだよっ！
「やっぱり、ボクのこと分かってくれるのはアサだけなんだねっ！」
「・・・え・・・？」